第5回 みんなのアート基礎講座を終えて

お盆休みが明けてから一週間が経ちました。個人的にはまだまだ瀬戸内海での美しい思い出に浸りつつ、子供達の夏休みはいよいよ残り一週間!

本日の午後、阿見町中央公民館の多目的室にて、第5回みんなのアート基礎講座を開催しました。

参加者の皆さん、本日はお疲れ様でした!

参加者の皆さんと一緒に!
作品が長いと、どのアングルから撮ろうか?迷いに迷いました(汗)

 
今回は3組の参加者の方たちと、思う存分広いスペースを貸しきりに、日本の文化である「絵巻物」を学びながら、「海」をテーマにその情景や物語をクレヨンや水彩絵具で描いていきました。

会場には開始30分前に入り、床に2枚のブルーシートを並べて敷くと、「あれっ?海が出来た!」「今日は海の上でみんなで絵を描く日なんだぁ~」と感傷に浸りつつ。。。

 
そしていざ、開始10分前に参加者の子供達が入室してくるやいなや、「うぁ~」と走る走るのテンションがマックスです・笑

やっぱり会場自体がいつもと違う雰囲気、非日常の場になると、子どもも大人も嬉しくなるものなのかな?

基礎講座を始める前に、子供達にも道具の準備やシートを床にガムテープで留めてもらったりと助けていただきました。



レクチャー


はじめはいつものようにご挨拶と一緒に、参加者の皆さんから自己紹介(1.お名前 2.学年 3.この夏の楽しい思い出)をしていただき、次にプロジェクターからの画像を通して「絵巻物」についての情報と今日の課題を共有しました。

絵巻物は一般的に「絵」と「ことば」からなっており、鳥獣人物戯画のようにことばがない絵だけの絵巻物もあること。その大きさは、縦30cm×横10m のものが多いこと。鑑賞する時は壁にかかっている絵画と異なり、机の上に置いて見下ろすように鑑賞。一般的な絵画と異なり、一度に全ての作品を見ることが出来ず、巻物をくるくると巻きながら進めていくこと。そのため時間や空間の流れを強く感じる特徴がある、などなど。

 
鳥獣人物戯画(アニメーションの原点といわれている作品です)
 
参照リンク: 国際日本文化研究センター


そして、今回制作する絵巻物は「海」をテーマに、参加者の皆さんと一緒に話し合いながら、自由な発想で描いていく。また作品完成後にはみんなでそのタイトル「○○○絵巻」を考案するというものでした。


今回、私の方から特に指示等は全く行わず、黒子に徹しました。ただ振り返ってみると大きく以下の内容で進行していきました。


下書き→着彩(対象)→着彩(背景)→タイトル考案


それでは順に見て行きたいと思います。


① 下書き


正直、今回はどんな感じで進んでいくのかな?と少々始まる前は不安だったのですが、子供達の「早く描きたい!」という気持ちが、迷いを吹き飛ばす後押しとなり、その勢いのままスタートしました。
その全長に対し、各子供達が四等分したかたちで描くエリアを決め、思い思いに(また事前に何を描くかを決めてきて)クレヨンや鉛筆で下書きを大きく描いていきました。


このかたちはまさか!

鉛筆でなにやら水中の恐竜を描いていますね~

 
 

② 着彩(対象)


 
男の子が大きな刷毛をほうき代わりにぴょんぴょんと前に進んでいます・笑

普段のアート広場や基礎講座では持参しない大きな刷毛をご用意!
白のバットに絵具を入れて、体全体の動きを取り入れながら描き進めていきます。

しばらくすると、今回の長大な作品の全体像が見えてきました・・・

 

 


 

途中、しりもちをついてしまい、絵の具がこぼれるは、紙が破けるはのアクシデント発生!
それもこれも大きな作品制作の醍醐味です。

絵の具が乾くと、クレヨンでその模様を描き足していきました。

お父さんと一緒にたくさん海中の恐竜を描いていきました。
 
コチラはご家族で持参してきた図鑑です。
よく見ると、兄弟のTシャツもT-REXと。
以前もアート広場ではゴジラを制作。
とにかく恐竜が大好きなんです!
 

 
この頃になると、私の方から子供達に「この作品のタイトルはどんなのがいい?」と尋ねてみました。

するとお兄ちゃんが「古代と現代」と即答。その理由を聞くと、作品の右側半分は古代の海に住む恐竜が、左半分は現代の生物(イカやヒトデなど)が描かれているから。

「なるほど・・・」

また別の女の子からは「海!」

そこで途中メモとして黒板に記入。
 

左側が「天」、右側が「地」の作品です。

 

③ 着彩:背景


いよいよ対象の着彩が終わりを見せるころ、子供達に「背景の白はどうしたい?青で塗ってみる?」と聞くと、「塗りたい!」とのこと。

ここは最後の仕上げです!

参加者全員で大量の水色を作り、大きな刷毛でみんなで一緒に塗っていきました。

すると不思議なもので、さわやかな綺麗な水色が塗られていくと、作品全体が徐々に締まっていきました。



ここでも個人で塗り方に個性が表れてきます。
ある女の子は細い筆で対象の輪郭に沿って丁寧に塗りたい!という強いこだわりを主張!
一方、大人達は大きい筆でざっくりでいいんじゃないの~と・笑


みんなで塗ると、あっという間です!
 

 

④ 題名は?

最後に、参加者の皆さんへこの作品の題名について尋ねてみました。

すると、制作中盤にメモしておいた「海」「古代と現代」の二つだけとなり、

では「どちらにしますか?」と聞くと、

「二つともタイトルでいいんじゃないですか?」と回答を頂きました。

なるほど!それでは 「海、古代と現代絵巻」 に決定です!

 
絵巻物は右から左へと進んでいきます。今回制作した作品は古代から現代へと海の情景と物語が描かれたというわけです。決してはじめから意図して、また計画して作られたものではなく、偶然?にも、必然にもこ?のような素晴らしい共同作品が完成しました!


 
 
 
作品の完成!
 

古代の海が力強く表現されています!
それはまさに弱肉強食の世界。
手前にはアーケロンというカメの恐竜です。

お父さん、本日は本当にお疲れ様でした!
プレシオサウルスの群れに始まり、サメやイカや食べられてしまった海中生物の骨まで表現!


大きな、大きなイカさんです。
目が二重?の表情がとてもキュートな大王イカ?
お母さんも吸盤のところをお手伝い!
(お母さんもお疲れ様でした!)

コチラも大きな大きなヒトデです!
色と模様からスイカを連想してしまいました。
周りにはワカメや小魚たちが嬉しそうに囲んでいますね!


 

最後に、反省点

帰路の車中で、あることに気が付きました。

それは巻物に見立てた画用紙と部屋の関係・配置についてです。

絵巻物の形態として、物語が下の写真奥からはじまり、手前の巻物軸(筒)に向かって進みます。つまり本来は、左側が「天」、右側が「地」。ですが室内の空間から考えると、太陽の光が右側の窓から入ってきますので、心理的にその光に背を向けて絵を描くよりも、光のさす方向に向かって人間は絵を描くものです。

つまり、反省点としてはじめの段階で真っ白な画用紙を置く時に、巻物軸を写真奥に置くべきだったと。

そうすると、より古代から現代への時間の流れが強調して表現できたのではないか!と反省です。勿論、逆の考えで現代から古代へタイムスリップする見方やどちらでもいいんじゃないの?といった意見もあると思いますが。
 

最後に個人的な感想として、やっぱり大きな作品制作というのは気持ちのいいものだと改めて思いました。

この長大な画用紙に絵を描く内容は個人的にとても気に入っているので、テーマを変えて次回以降、いろいろなところでも希望と可能な会場があれば開催したいと思っています。



 

そしてこの夏、参加者の皆さんにはアンケートのご協力も頂きました。本当にありがとうございました。

今年度予定していた夏季・アンケートを7月~8月の期間、アート広場とアート基礎講座で行い、参加者の皆様から様々なご意見・ご要望・ご感想を頂きました。

頂いた内容を後半の活動、また来年度に反映していこうと考えています。結果については別の場で改めて皆様にお伝えしようと思います。



追伸:

明日以降、9月22日に開催予定の第6回「みんなのアート基礎講座」の告知並びに募集を開始したいと思います。(募集が遅れて申し訳ありません。)詳細についてはSNSやホームページにて追ってご連絡させていただきます。

ちなみに9月8日(日)のみんなのアート広場は引き続き、参加者を募集しております。皆さんのご参加、お待ちしております。

それでは残り1週間、楽しい夏休みをお過ごし下さい!




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