瀬戸内国際芸術祭(4日目:豊島)




台風通過後の今日は快晴に恵まれました。ここ高松市はあまり甚大な被害はなかった模様です。しかし芸術祭の方は、展示会場の確認作業及び鑑賞者の安全面を考慮し、ほとんど全ての会場は正午からの公開となりました。

今朝は30分前に高松港へ到着。チケット売り場の列に並んでいると、少し周りがざわついてきました。地元のテレビクルーも大きなカメラを抱えています。どうやら豊島行き(10:05発→10:40着)の高速船がちょうど私の前々の方で満席というではありませんか!!!正直、その時は頭が真っ白になりました。というのも次の便は16:30!ってことは今日は無理なの!?すると係りの方が現れ、臨時便(10:40)を出すとのこと。しかし到着港が唐櫃港(からとこう)ではなく、家浦港(いえうらこう)とのこと。

それはつまり、豊島巡りのルートや計画を修正を意味します。「これは参ったぞ」

そこからガイドブックを見直し、ルート変更。憤りを少し感じるとともに「まっ、これも旅の醍醐味だ」と、その時ふと高校生のときに愛読していた沢木耕太郎氏の「深夜特急」を思い出しました。

「こんなハプニングも楽しまないでどうするよ!」

 



臨時の高速船

昨日のフェリーと違い、結構な揺れがありました。
船酔いをしている?方も見受けられました。

 
 

家浦港に無事到着!

 

今日の旅を一言でいうと、まさに「七転八倒」と、まさにこれが旅だよな!?と言わんばかりの予期せぬ事態がこの後にも続きました。高速船の中で練り直した計画は、家浦港に到着後、バスで唐櫃港に戻りレンタル自転車を借りてアートを巡る。そして高松港行き16:10発の高速船に乗ることです。つまり、豊島には4時間半の滞在・・・


NPO法人豊島観光協会・土庄町商工観光課 発行
豊島 TESHIMA GUIDE MAP & TIMETABLE 2019.4.26-11.4 より



そして唐櫃港行きのバス停に行くとまだ待ち時間がかなりあったのでインフォメーションセンターで帰りの便について尋ねてみました。というのも帰りの便も満席だったら、最悪、高松に戻れなくなるの?とい一抹の不安があったからです。芸術祭のボランティアガイドさんからは船舶会社さんによって臨時を出すかどうかが決まるとのこと。(えっ~~)

しかし、そこで信じられないことを耳にしました。家浦港から高松港へ直島経由で便があるとのこと。それも17:35発→18:26着!!

つまり、豊島に4時間から6時間の滞在に変更!!もうそこからの気分はもうあげあげ状態です。




早速、近くのガソリンスタンド屋さんでレンタル自転車(500円/日)を借り、新ルート(家浦港→唐櫃港+豊島美術館→家浦港)に向けて出発!

 
幸運にも、ガソリンスタンドのおじさんから地図まで頂きました!
ここから自転車で山を登るのはきついから、海岸沿いに沿って豊島美術館へ行き、
そこから帰りに山のルートを勧められました。
 
・・・大変?・・・って言われると行ってみたくなるのが私の性分。
マウンテンバイクで山を登りながら最後に豊島美術館で完結!に決心。
 


後で身にしみて分かることなのですが、「ここはツールドフランスかよっ!」と自分に突っ込みを入れるほど、マウンテンバイクや普通自転車は大変にきつかったです。もし豊島を訪問されたら、間違いなく電動自転車(レンタル料1,000円)をお勧めです。  

島をサイクリングしながら、360度の周りの自然の美しさに対し、こみ上げてくる嬉しさと笑いが止まらず!

 

硯地区にある「ウミトタ(海と田)」 ※宿泊施設






お昼は「島キッチン」さんでとろうと思っていたのですが、行きの船の中でチケット終了のお知らせが・・・
そこで道中、おいしそうなお店を見つけてここで食事をとることにしました。
結果的にここで食事をとっておいて正解でした!






棚田の堺には薄い石を積み重ねた石段が見られました。




この辺りまで来ると、もう全身汗まみれ、ぜーぜー言いながら湧き水の場所を発見!
とても美味しいお水でした。なんでも弘法大師さんもここに来たとか?
 
この島の中央にそびえ立つ壇山から湧水が流れ出ており、
島の稲作や農業の支えになっているそうです。

 
 





島キッチンさんです。
このすぐ横の蔵にピピロッティリストのプロジェクター作品があり。
鑑賞後、せっかくなのでこの地域の方々のコミュニティ場所にもなっているところをぐるぐると見て回りました。


 
 そしてこの後、もう少し山を18分ほど登ったところに
クリスチャン・ボルタンスキーの「ささやきの森」(400個の風鈴が森の中に!)
という作品があるので行ってみることにしました。
 
途中、映画に出てくるような海が見える墓地。

何だか誰もいないなぁ~と思っていると、会場に到着。
しかしそこには本日休館のラミネート板が・・・
私と同様にここに来た方たちと確認し、観光協会へ電話をしてみると、台風の影響でお休みとのこと(泣)・・・「これも旅の醍醐味・・」と自分に強く訴えかける始末。




さぁ~気分は一転、自転車で坂道を下りながら、気持ちの良い風を全身で感じながら、
「いざ、豊島美術館へ参ろうぞ!」




 
 
豊島美術館へ着くと、その海と空と棚田の美しさに言葉をなくしました。
 
 
豊島美術館の受付付近に行くと、こちらも入館はチケット制。私は16:00からのものを頂きました。

帰りの便は17:35発高松港行き・・・「ぎりぎりかな?」というのも帰りの便は混むので1時間前ぐらいには家浦港に戻ったほうが良いとボランティアさんから言われていたからです。

最低でも30分は同美術館に滞在、鑑賞。そして海岸沿いの道に沿って自転車で猛ダッシュ。「間に合うか?」でもこの豊島に来たかった理由の一つはこの豊島美術館を見ることと同等。

「え~い、何とかなるさ」

16時まで時間が有るので、そこでここから東にクリスチャン・ボルタンスキーの作品「心臓音のアーカイブ」を見に行くことに。



途中、島のかたちをしたバスケットゴールが!
イオベット&ポンズ作
「勝者はいない―マルチバスケットボール」


ボルタンスキーの展示会場の目の前にはこれまた美しく穏やかな海が広がっていました。








 


そしていよいよ最後の締めである「豊島美術館」です!

はじめに、建築家の西沢立衛氏、そしてアーティストの内藤礼氏には本当に心から敬意を申し上げたい。私の人生の中で美術館内に入った瞬間に目頭が熱くなったのは、今回が初めての経験でした。雑誌や本で美術館を視覚的に知っていたにもかかわらず、心の底からこみ上げてくる何かがありました。

そこには様々な人種・国籍の人々が、二つの丸い穴が開いた天井に沿って輪を描くように座っていました。静かにじっと床からまるで生きもののような水の動きを見つめ、風や木々の音がやさしく周りを包み込んでいました。

瞬間的に「ピースフル(平和)」という言葉が脳裏を掠めました。終戦記念日の翌日でもあったからかもしれませんが、このような時間と空間を創造した日本人に誇りを感じました

美術館脇の棚田

 

館内は撮影禁止。外観を撮影。

 

豊島美術館を後に、最後のラストスパートだぁ~!と、自転車で猛ダッシュは5分も続かず。

海岸沿いの道もアップダウンが・・・もうこのときにはペダルをこぐと、足がつってしまう状態でした。(ホテルの体重計で、この日だけで-2kg!)

レンタル自転車のおじさんにお礼を言って返却し、家浦港に着くと、今朝の混雑状況から一変。

どうやら実行委員会の方で高速船の臨時便を何便も手配してくれていました。(対応が早い!)

そこで高松行き(17:40発)に乗船。

このときわかったのが、帰りの船は行きの船と違い全く揺れず、すいすいと進むではありませんか?

「これも旅・笑」
 



ありがとう!豊島

 
  

明日はいよいよこの旅の最終日、大島に行ってきます。そして夜に茨城に戻ってくる予定です。ではまた!(続く)
 
 

到着後の高松港



 

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