第1回 みんなのアート基礎講座を終えて

昨日とは打って変わって、今日は一日中とても気持ちの良い天気になりましたね!

阿見町にある本郷ふれあいセンターにて、今年最初のみんなのアート基礎講座を開催しました。

参加者の皆さん、本日はコラージュ制作お疲れ様でした!

今回の内容はいかがだったでしょうか?

みんなで記念写真!


今日を含めて「平成」も残りあと3日となりました。そして5月1日(水)より、いよいよ令和元年が始まります。

そこで今回は「10年後の私」をテーマに、絵画技法の「糊付け」を意味する「コラージュ技法」を活用して、10年後・・・つまり令和10年(2029年)の自分を自由に想像し表現していただきました。



講座のはじめに、参加者の皆さんには簡単な自己紹介を行っていただき、15分ほど「コラージュ」についてのスライドレクチャーを行いました。なるべくたくさんのコラージュ作品を見ていただき、適宜参加者の皆さんとおしゃべりしながらコラージュの概念を共有していきました。

その後、各参加者にA3用紙をお配りし、マインドマップで10年後の私を言葉で書き出し、それをもとに持参してきた雑誌の切抜きやチラシ等の素材を「選別」→「切り抜き」→「仮置き」→「糊付け」の工程で順次制作を進めていきました。


四つ切り画用紙を2枚合わせて、合作を試みています。
大好きなゲームのキャラクターや武器にあったビジュアルの素材を
はさみでチョキチョキ。

親子で初めての参加!
持参してきた紙箱の中にはたくさんの素材が入っていました。

おや?なにやらお父さんは施設隣の公園から落ち葉や枝を集めてきました。
この後どのように展開するのでしょうか?楽しみですね~。

お母さんも一緒に新聞紙や広告紙を手際よくはさみで切っていきました。
 

子供達からのリクエスト=下絵(ゲームのキャラクター?)を
お父さんが上手に描いていきました。
この後、下絵にそって素材を貼っていくのかな?


 

先ほど拾ってきた枝がなにやら地面からにょきにょきと伸びています。

お母さんは集中して制作中!

絵巻物のような長い台紙にお気に入りの素材を仮置きしながら
またおしゃべりしながらお互いのイメージをすり合わせ
完成図を共有していきました。

 






最後に振り返りの時間で、参加者の皆さんには作品発表を行っていただきました。

マインドマップを見ながら自分の言葉で10年後の未来とコラージュの感想も含めて発表していただきました。
 


10年後には習っていたバレーや大好きな人形も!
また前景・中景・後景の遠近感が表現された画面構成になっています。

好きな音楽、食事、旅行、健康、
そしてお仕事を通して子供達の笑顔も一緒に!
 
10年後はお花屋さん、しかも喫茶店が併設されています。
そこにはお母さん公認の素敵なイケ面彼氏も一緒です!
画面全体が暖色で統一され、幸せに満ちていますね。

大好きなポケモン、アルバイトで勤めたいお店の食材、
そして東京にお母さんと一緒に移住したい!

なんと先ほどの枝は家の骨組みとなりました。
将来住みたい家が風景の中で溶け込み
見事に表現されています!

プライベートとお仕事が合わさるイメージ。
画面全体がとても緊張感を持った構成になっています。
よく見ると、2匹の犬が一緒に並んで走っているように見えませんか?
(手前が黒犬、奥が柴犬)

発表後、合作は分解されました。
なにやら紋章?が書き足されています。
二人だけの秘密の暗号かな?

 
 
 

今日一日を振り返ってみて感じた事は、特に子供達一人ひとりに「制作に向き合う間合い」のようなものが存在すると感じました。

というのも完全な自由制作である「みんなのアート広場」とは異なり、アート基礎講座は課題制作のため、ある程度参加者の皆さんには同じレールがその場に敷かれています。そのレール上に沿って行けば、もちろん作品の完成(各々のゴール)が待っているわけですが、子どもによってはそのレールそのものをなかなか見ようとしないことも起こります。

時間も限られている中、どうすればその道案内を読み解き、各課題の達成目標(今回は以下4点)を体験してくれるのか?

  1. コラージュの素材をお金をかけずに楽しく集めてみること!
  2. 10年後の自分をイメージしてみること!
  3. コラージュという絵画技法を楽しく体験してみること!
  4. 制作した作品を未来地図として活用し、是非行動に移してみること!

このような状況の場合、ファシリテーターでもある私はついついせかしてしまうことが多々ありますが、きっとそうではなく寛容な心持で一人ひとりの「向き合う間合い」や「時間の使い方・ペース」を早い段階で読み取り、参加者一人ひとりに心地よくアート制作に向き合っていただき、そして最後には笑顔で終わることができること!その力や経験をもっともっと積みたいと感じました。

例えば、はじめにコラージュ制作なのにペンでのお絵かきに夢中になっている子がいました。今回は絵を描くことがメインではありません。しかし話をしていく中で、その絵を描き、切り取って、貼り付けるという段取りがすでに頭の中にありました。もしそこで私が「それは今回ダメだよ」の一言を言ってしまったら、どのような結果になっていたのか?

またお友達同士でおしゃべりに夢中になってしまい、なかなか制作が進まない状況がありました。しかし別な見方をすれば、二人の合作という楽しい協同体験の中で、おしゃべり(対話)をしながら二人のイメージを徐々にすり合わせているとも見て取れます。もしこのおしゃべり(対話)を「ダメ」の一言で止めてしまっていたら・・・・実は絶妙なタイミングでこの後お父さんが渡し舟を子供達に出していました。その後子供達の制作が進んでいきます。


確かにアート基礎講座では作品を時間内に完成させることも大事なことの一つですが、もっと広い視野で見たとき、参加者一人ひとりから湧き出てくる大切なことがあり、そのことをもっともっと読み解ける力を今年一年磨いていきたいと感じました。但しちょっとその判断を間違えれば、子供達の自己肯定感をそいでしまいますし、またただ甘やかしてしまう場合にもなりえます。本当に難しいところです。

もちろん、上記の解釈はあくまでも私個人の「ミカタ」ですが、日々勉強です。


さて、次回の告知です。

第2回みんなのアート基礎講座
カタチの実験「手に持つ道具作り」
講師:濱本ゆーき先生
日時: 5月26日(日)13:30~16:00
会場: 阿見町中央公民館・第2会議室
詳細はコチラをクリック→ http://www.artcompass.jp/foundation.html

皆さんのご参加お待ちしております!


【今日のタイムスケジュール】

13:30~13:45(15分) ご挨拶・自己紹介
13:45~14:05(20分) レクチャー
14:05~14:55(50分) 制作(前半)
14:55~15:05(10分) 小休憩
15:05~15:50(45分) 制作(後半)
15:50~16:05(15分) 振り返りと発表・後片付け


追伸:

本日参加された臨床心理士の方から、講座終了後に「コラージュ療法」の貴重なお話を頂きました。「箱庭療法」とは異なり、物理的に持ち運びが出来き、病室などでも制作可能な療法だとのこと。私は初めて知りました。

ちなみに昨年のアート基礎講座「箱庭×見立て」の詳細はコチラ→http://artcompassblog.blogspot.com/2018/11/8.html

日本発祥のこの療法は、例えば言葉で表現することを苦手とする子供や大人達にコラージュ作品の制作を通して、自分の伝えたいことを発する良い術になるのだそうです。

そういえば私も20代はじめの頃、なかなか社会とうまく向き合えなかったころがあり、中2病的なコラージュ作品をよく作っていました(笑)。ただその時は悶々とした感情をコラージュの作品制作を通してうまく吐き出すことができ、スッキリした記憶を今でも覚えています。(自分でコラージュ療法を無意識に取り入れていたのかな?)

もしご興味のある方は是非、ご自宅でもコラージュ作品を作ってみてはいかがでしょうか?











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