5/31オンライン対話型鑑賞会を終えて

5月31日(日)午後、オンラインにて『対話型鑑賞会』を開催いたしました。

ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました。

じつは私自身、オンラインで参加者側ではなく講師側でやるのは初めてのことでした。
至らない点も多々あったかと思いますが、最後までお付き合いくださり、
ありがとうございました。


先に『対話型鑑賞』というのが何であるか?を大人の方向けにお伝えすると、
以下のようになります。

◆対話型鑑賞とは?
1980年代半ばに、アメリカのニューヨーク美術館で子ども向けに開発された美術の鑑賞法。一方的に作品の説明を聞き、作品や作家の知識を積むことを目指すのではなく、アート作品と向き合って、自分の目や心や頭で、感じたり考えたことを自由に言葉にし合うことで、アート作品と鑑賞者である子どもたちとの間に、また鑑賞者である子どもたち同士の間に、心や言葉の対話を通じたコミュニケーション関係の構築を目指すもの。

さらに能力促進の観点では、対話型鑑賞によって、論理的思考力(ロジカルシンキング)・批判的思考力(クリティカルシンキング)・創造的思考力(クリエイティブシンキング)が促進されると言われております。

少し説明を加えると、

・論理的思考(ロジカルシンキング)は、「複雑な物事を整理・分析して因果関係を解きほぐし、結論までの道筋を矛盾なく、シンプルにわかりやすく示すこと」であり、
対話型鑑賞では、アート作品から読み取ったことを自分の言葉で他者に伝えることで育んでいけると考えています。

・批判的思考(クリティカルシンキング)は、「主観と客観の両方の情報を捉えて、適切に分析し判断(決断)していくこと」であり、
対話型鑑賞では、アート作品に対する主観と客観(他者の見方)の両方に触れる体験によって、より対象への関心が深まることで育んでいけると考えています。

・創造的思考(クリエイティブシンキング)は、「既存の枠組みにとらわれないアイデアを生み出す自由な発想をすること」であり、
対話型鑑賞では、アート作品の中に点在する情報からイメージを膨らませていくこと、また他者のアイデアを楽しみ、自分のさらなるアイデアの糧にする感覚を体験すること、で育んでいけると考えています。


少々堅い話になりましたが、
要するに、アートの教養を育むというよりは、「アート作品との対話」「他者の観点やアイデアとの対話」に重きを置いているのが、「対話型鑑賞」であり、それに付随するものとして、上記のような3つの能力が促進されていく。というイメージを持って頂けたら、と思います。



そのため、ルールも上記のようになっています。
自由な発想と他者への寛容を保護するためのルールです。

以上が「対話型鑑賞会」の説明となります。

また今回はオンライン(zoom)での開催なので、
以下のようなお願いと操作の練習も行いました。



ミュート(音声OFF)の切り替えのお願いと操作練習をしました。
加えて、ペンツールの操作練習もしました。


上の文字を1つだけ○(丸印)をペンツールで書き込んでもらい、
それが何に見えるか?というのを発言してもらいました。

操作の練習を終えたところで、
本題のアート鑑賞に入りました。

今回みなさんに鑑賞して頂いたのは、以下3つの作品でした。
(講座の最後にご紹介したものです↓)


3つの作品をそれぞれ10分ぐらいかけて、じっくり鑑賞して頂きました。

「どんなものが見える?」
「不思議だなぁと思うところはある?」
「なんでそうなってるんだろうね?」

主にこんな声かけをさせてもらいました。

みなさんどの方も、自分の言葉で発言してくださり、
他者の声にも、よく耳を傾けて聞いてくださっていました。

(本来ならみなさんの素晴らしい観点やイメージをご紹介したいところなのですが、
録音を忘れてしまい、皆さんの発言を私が脚色してしまうかもしれないので控えます。すみません。)

今回ご紹介した作品以外にも、
上記作家さんの素晴らしく面白い作品が多々ありますので、
もし良かったら検索してみてください。


それから最後に、
発言の瞬発性は人それぞれなので、じっくり考えてから発言するタイプの人、様子を見て発言するタイプの人もいると思うので、そういう方も尊重しながらも、
オンラインの場合は、鑑賞作品の数をもう少し増やしてテンポを早めてみるのも良いかなぁと考えています。

オンラインでは、やはりリアルの時とは感覚が違うので、
オンラインでも、ゆるりとアートを楽しめる場とはどんなカタチか?を考えて、調整していきたいと思います。

ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。







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