第4回 みんなのアート基礎講座を終えて


今日の午後は阿見町にある本郷ふれあいセンターにて、今年度最後のみんなのアート基礎講座「スチレンボード版画」を開催しました。

参加者の皆さん、先週に続きお忙しい中ご参加いただきありがとうございました!


●概要

第4回みんなのアート基礎講座「スチレンボード版画」

日時:2020年10月18日(日)13:30~16:00

会場:本郷ふれあいセンター・会議室1

参加者:7名(子ども4名+大人2名+中村)


●タイムスケジュール

13:30~14:00 レクチャー「スチレンボード版画」

14:00~14:30 スチレンボード版画の実験

14:30~14:40 休憩

14:40~15:30 本制作

15:30~15:40 簡単な後片付け

15:40~16:00 振り返り(作品発表)



●スチレンボード版画の実験

はじめにプロジェクターを使って、版の種類を大きく4種(凸版画・凹版画・平版画・孔版画)に分類して、古今東西のいろいろな版画作品をお見せしながら、対話型鑑賞とまでは言わないまでも、おしゃべりをしながらざっくりと「版画とは何か?」をつかんでいきました。

その後、私の方でスチレンボード版画のデモンストレーションを行い、各参加者の皆さんにはハガキサイズの版を4枚使って「スチレンボード版画とはどんな感じなのか?」実験を行っていただきました。


このスチレンボード版画の(個人的に思う)魅力の一つは「身近にある様々な道具(スプーンや粘土へらなどの人工物、木や石などの自然物など)を用いていろいろな痕跡を残せること」でしょうか?

版そのものは発泡スチロールのようにとても柔らかい素材なので、幼い子どもの力でも容易に線を引いたり、道具を押し当てて凹みを加えたりすることができます。

しかし、いざ摺りの段階に入ってみると、その道具の形状から想像通りの模様が和紙の上に現れることもあれば、全く想像していなかったものが出来たりと、これがまた「版画の偶然性の楽しさ」でもあります。

参加者の皆さんには、4つの版に可能な限りたくさんの道具を用いて自由に表現していただきました。


筒のフタや積み木などを使って花を表現していますね。


一通り4種の版がつくれた参加者から、隣の島に用意した摺りのコーナーへ移動していきました。今回は版画用インクを「黒・赤・青・黄・茶・緑」の6色をご用意。

子どもたちはみな学校で木版画や紙版画の経験者です。
躊躇なく摺りの工程がどんどん進んでいきました。
ちなみに使用した紙は百円ショップでも売っている書道用の和紙を使用。


インクの量が足りなかったり、ムラがあったり、馬連による摺りの押しが不十分だったり、逆に摺りの力が強すぎて紙が破れてしまったりと、はじめ失敗が続きましたが、徐々に感覚的に「自分に合った摺り」を見つけていったように思えました。

どうして薄くなってしまったのか?その原因を考え中!


4種類の色で試してみたり、
和紙ではなく文字や写真が載った新聞紙を用紙にしてみたり、
自分が描いたドローイングの上に摺ってみたりと試行錯誤の実験が続きました。


●スチレンボード版画の本制作

10分間の休憩後、いよいよ本制作です。

先ほどの実験結果を生かしながら、気に入った模様の道具などを使ってA4サイズ程の版に絵を自由に描いていきます。

実験結果からイメージを喚起する子、昨日あらかじめ下絵をトレーシングペーパーに作ってきて、それを基に描いていく子、10月の季節に合った情景を描いていく子、アニメの本を資料にそのキャラクターを描いていく子などなど、久しぶりに?集中した沈黙の時間が経過しました(いつもはとっても賑やかなため、かえって違和感を感じるほど・笑)。



前半の経験が生かされたのかな???
なぜか料理のように手際よく摺っていたり、身体のリズムに合わせ、足をぴょんぴょんと跳ね上げながら摺ったりと、独自の摺り方が生まれていきました。

私も親御さんも子どもたちのスピードとリズムに合わせながらサポートにまわります。


失敗は成功のもと!

摺りの失敗を重ねていくうちに、どうして失敗したのか?その原因を自分で考え、その解決策をお母さんと協力しながら摺りを重ねていくと、2枚目、3枚目と回を重ねるごとに摺りが上達していくのがわかりました。


満月にウサギが餅つきをしています。
インクのグラデーションが草原の遠近感を見事に表現していますね!

大きな葉っぱにヘビがモチーフ?
画面いっぱいに描いた葉っぱの大胆な構図が素敵です!

アートコンパスの影響もあるのかな?
二人の姉妹は現在学校のアートクラブにも所属しているとか?
今後の成長が楽しみです!

版画の魅力の一つで、同じ版を使っていても
摺り一つで全く別の表情を持つ作品が生まれること。
プロの作家さんはその日の気温や湿度まで気にするとか。
版画の醍醐味ですよね。

使用した版も、そのままレリーフとして部屋に飾ってもいいかも!


今回も計画的に進むはずが・・・
けれど何とか時間内に作品を完成することができました!
お疲れ様です。

コチラはあとちょっとで完成です。
わざわざ作品を持ってきてくれました。ありがとう!




●振り返り(作品発表)と意見交換

最後に各参加者には簡単な振り返りとして作品の発表をしていただきました。難しかった点や発見した内容などなど。

その後、11月22日の「みんなのアートプロジェクト」について簡単な意見交換を行いました。

というのも通常であればこの時期一年の半分が過ぎ、今年度をざっくりと振り返りはじめ、来年度の活動内容を考え始めるころなのですが、ご存じのように今年度は計画通りの思うような活動ができませんでした。

しかし、「みんなのアートおうち工作」や「オンラインアート広場」など、いろいろなアイデアが生まれたり、貴重な経験もさせていただき、今後の活動への収穫も大です。

ただここ最近感じていることがあります。

それはも少し学びの幅を広げたい。具体的に言えば、来年度以降にもう少し「プロジェクト学習(みんなのアートプロジェクト)」を充実していきたいと考えています。

参加有志者で集まり、やってみたいことを意見交換して、準備、実行、振り返りという一連の工程を一緒に楽しみたいと。さらに言えばその場を決まった屋内だけでなく、地域のいろいろな場所で行ってみたり(サイトスペシフィック)、地域の課題と結び付けて一緒にその解決策を見つけていったりと展開出来たら面白いだろうなぁ~と。

そのためには、アートコンパスの方でも準備のリサーチが必要です。例えば、プロジェクト学習ってそもそも何なのか?、他で行われているプロジェクト学習を参照したり、私の方である程度の枠組み(構成)を組み立てる必要があったりと。

まだ悶々としている段階ですが、何とか実現に向けて動き出したいと考えています。こうご期待ください!

 
●お知らせ

みんなのアートプロジェクト「段ボールで遊ぼう!」
日時:11月22日(日)13:30~16:00
会場:本郷ふれあいセンターを予定
ブログ:昨年の模様

当日は参加者の皆さんと一緒に段ボールハウスを作ってみたり、ピタゴラスイッチ?、それとも自由な工作になるのか?当日の気分で思うがままに進行します!

今週末より参加者を募集いたします。皆さんのご参加、お待ちしています!


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