7月のオンラインアート広場を終えて
雨がパラパラと降ったり、止んだりの今日の午後、7月のオンラインアート広場を開催しました。
キャンセルの方たちが出てしまい、参加者が一組だけとなってしまいましたが、たとえ一組でも勿論開催します!リピーターになってくださった娘さんとお母さんとマンツーマンの楽しい時間を一緒に過ごすことができました。
素敵な午後をありがとうございます!
<概要>
内容:フロッタージュの世界
日時:7月25日(土)13:00~15:00
※Zoomによるオンラインアートワークショップ
参加者:一組の親子
<タイムスケジュール>
①13:00~13:10 「フロッタージュ」ってなに?
②13:10~13:20 実演
③13:20~13:55 素材集め
④13:55~14:05 素材の発表
⑤14:05~14:10 小休憩
⑥14:10~14:55 作品制作
⑦14:55~15:05 作品発表
今回のフロッタージュやその制作過程については、以前のブログで説明させていただいたので、ここではもう少し別なお話をさせていただければと思います。
このフロッタージュという絵画技法を取り入れたシュールレアリスム(超現実主義)の代表的な作家に、私の好きな画家のひとりでもあるマックス・エルンスト(1891~1976)がいます。
「彼の作品の一体何が好きなのか?」
一言で言うと、それは「絵画の中に偶然性を取り入れているところ」です。
もう少し具体的に説明すると、一般的に絵を描くという行為は、ある程度の計画性(画面の構図、対象の色や形など)をもって絵を描き始め、完成する頃には当初の構図や色や形が少し変化していたとしても、その制作過程の間は自分の意志(意識)がず~っと働いていると思います。つまり、自分の意志による確かな必然性を絵画の中に組み込んでいるわけです。
その意識的な組み込みではなく、その逆の発想で己の意志とは離れた意思(無意識)を絵画の中に取り込むためにはどうすればよいのか?
例えば目をつぶって描いてみたり、筆に絵の具をつけて床に置いたキャンバスに向かって勢いよく絵の具を飛ばしてみたり(ドロッピング)すれば、自分のコントロールが効かない模様が目の前に表れてくると思います。
その意味で今回のフロッタージュは偶然性の要素を含んでおり、エルンストは絵画の中にその偶然性を取り込むことによって意識だけによるガッチガチの絵画ではなく、それはまるで緊張が解かれたような、ゆる~い余白・余韻のような残像を作品の中に残していると思います。
一見すると「デタラメ」のような印象を受けないでもないのですが、実際に自分の手で偶然性を生かした作品を制作してみると、力みのない広さを感じる作品が生まれる場合もあるのです。
この例えが良いかどうかわかりませんが、栃木県にある日光東照宮の陽明門の逆柱は「不完全」があります。あとは大陸文化の「左右対称」に対する法隆寺や日本建築の「左右非対称」の空間構成など、何かその「不完全さ」にも通じる日本独自の文化がそこにあるような気もしています。
この歳になってやっぱり感じることは、自分がしっくりと馴染むスタイルは、この偶然性を取り入れた作品が20代のころから今なお大好きで(最近改めてそのことを感じています)、その意味でエルンストの作品や、シュールレアリスムの後に花開いたアメリカ抽象絵画表現主義の作家たちも大好きなわけです。
話を本日のワークショップに戻すと、今回参加してくれた女の子に、シュールレアリスムに関連して、意識と無意識、偶然性などについて簡単に話をさせていただいた上で、「いつもどのように絵を描いているの?」と質問をしてみると、
「目的を持たない!描いていくうちに徐々にイメージが固まってくる」とのことでした。
描き方は一つではありません。十人十色の多様な世界です。
初めから強烈なイメージをもって制作に臨む場合もあれば、手を動かしているうちにイメージが具体的に湧き上がってくるときもあります。または状況に応じて、その両方を組み合わせることも可能だと思います。
その中でも今回のフロッタージュは屋内で偶然に見つけた素材(地肌=マチエール)を組み合わせて、具体的な対象を台紙の色紙の上に自由に表現していきました。
気持ちがすーっと晴れやかになりますよ!!
「家」
ウサギが描かれたバックをフロッタージュ!
そこから切り抜いたウサギを中心に色紙の黄緑と橙のドットが補色の関係で
全体を優しい家の雰囲気を表現していますよね。
「クジラ」
色紙の赤と手前の草色、そしてクジラの青との対比がダイナミックです。
また構成として縦と横のクロスが魅力であると同時に、遠近感も演出していますよね!
「憂鬱だけど、明るい自画像」
ここ最近の長い雨続きとコロナの自粛で
憂鬱になりながらも明るさを忘れない気持ちで制作してみました。
次回のお知らせです。
内容「クランクでうごくおもちゃづくり」
日時:2020年7月22日(土)13:30~15:30
参加費:無料(但し必要な材料等は自己負担となります)
※基本道具と材料の詳細については追ってご連絡します。
それではまた!
コメント
コメントを投稿