色彩にまつわる思い出

昨年開講した「みんなのアート基礎講座」全10回のうち、2講座ほど色彩についての勉強を行いました。一つは色とりどりの折り紙を用いて貼り絵の作品制作、もう一つは皆さんもよくご存知の19世紀のヨーロッパで起こった絵画運動「(後期)印象派」から点描画法を学ぶというものでした。

確か点描画の講座の時だったと思います。

参加してくれた小学生4年生の男の子との制作中の会話の中で、私がこんな質問をしてみました。

「このパレットの中の絵具から2つの絵具を使って緑色を作れるかな?」

答えは「青と黄色の絵具を混ぜる!」だったのですが、その男の子は、そのとき答えることが出来ませんでした。

実は今回の講座内容は、昨年のこの経験から思いつき、発案してみました。

というのも、このやり取りの後に、色彩にまつわる私のある2つの思い出が浮かび上がったからです。

一つは私が小学校の頃、水彩絵具を支給されて、担任の先生からその基本的な使い方や混ぜ方、そして色彩そのものについての知識について、きちんと学んだ事がなかった残念な思い出。

もう一つは、高校を出て、都内の美術予備校に通っていた頃、当時の先生から「いろいろなグレー(灰色)の作り方」を学んだとき、それはまさに「目から鱗」のような経験で、その後の絵画制作や色彩そのものを活用していく中でとてもその経験が生かされた嬉しかった思い出。

美術に限らず、いろいろな学びの場において、例えばそれが公共教育、スポーツやお料理教室、また会社やお金や税金の仕組みなど、そのほとんどの分野において、やっぱり各々に最低限押さえておくべき基本は必ず存在すると思います。

そしてその基本に沿って、その分野に関わる人たち、携わる人たちは、更なる自身の成長とその分野の発展がより円滑に広がっていくと思います。

私自身どちらかと言えば、「基本」を初めにきちんと教わっていないと変な癖がついてしまい、途中で成長の伸びがなくなってしまったり、その癖を取り除くのに苦労したりと、まぁ~あまり良いことはありません。皆さんにもこのような経験が一つ二つありませんか?

ただ残念なことに、日本の世の中では「何かを学びたければ、自分の目で見て、自分で勝手に学べ」的な雰囲気が未だに漂っている感があります。

私は、この言い分の中で「自分から積極的に、かつ自主的に学んでいく」という点において、否定するつもりはありません。

ですが、個人的にこの一方的で、不親切な伝え方は好きにはなれません。

学びの始まりにおいて、またスランプに陥った時など、やっぱりその分野の主柱とも言うべき「基本」については、先生から生徒へ、師匠から弟子たちへ、大人から子どもたちへと伝えていくべき大切なことだと思います。

余談になりますが、更なる新たな創造について考えてみる時、この「基本」について批判的な視点で見つめてみる事も必要になってくることもあります。


話が長くなりましたが、そんな訳で、こんな訳で、

今回は「色の本質と基礎知識」と題しまして、有彩色(赤・青・黄=色の三原色)と無彩色(白・黒)の計5色だけを使って、たくさんの色彩を作り出す面白さを実感していただきながら、美術に限らず、皆さんの日常生活を豊かに彩ってくれる色彩の基礎について楽しく学んでいきたいと思っています。

少々理屈っぽい内容、かつ様々な色彩を絵具で作っていく地道な修行?になってしまいますが、これはこれでかなり楽しめる内容になると思っています。

それではまた!


追伸:
阿見町では今週末が桜の見ごろだったのですが、残念ながら雨模様(泣)悔しいので昨夜、カメラ片手に夜桜を堪能!








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