第7回みんなのアート基礎講座を終えて(後編)

前編の続きです。

みんなで入浴剤のパッケージについてディスカッションした後は、
③架空の商品のパッケージデザインを個人制作していきました。

今回は、2種類の形の違う白箱を用意し、好きなほうを選んで使ってもらいました。

選んだ白箱の中に入れたいもの(架空の商品)を決めていただき、
そのパッケージをデザインしてもらうというものでした。


まずはアイデア出しから。

まっさらな八つ切画用紙に、マインドマップやスケッチなど自由に描いていただき、
アイデアを詰めていきました。

私が作った試作品も見ていただき、
「このように考えていきました」というところを説明させていただきました。↓
ちなみに私は、魚料理やカルパッチョに合う
「オレンジ風味のオリーブオイル」を想定して考えました。

箱の中身(架空の商品)を決めたら、
スケッチを描いて、パッケージを着彩していきました。

作品が完成したら、④発表・振り返りをしていきます。

こちらの男の子は、「ニンテンドーSwitch」が入るパッケージをデザインしてくれました。
商品の大きさ的に、箱を2つ、くっつける必要があると考えたようです。さらには箱の開き方にもこだわって制作してくれました。
このように、真ん中から開く仕様になっています↓
箱を開いた瞬間に、「ニンテンドーSwitch」がバンと見える、感動的なご対面を演出してくれそうな仕様ですよね。
他にも、箱の天面には、このように輪ゴムで持ち手を作っていました↓
パッケージの各面には、「ニンテンドーSwitch」の画面やコントローラーの絵が描いてあったり、家の中でSwitchをプレイしている人の絵も描いてありました。
箱の中身が何かをわかりやすく伝えていて、持ち手が付いていたりと、買う人のことをよく考えられたパッケージデザインだなと思いました。


こちらの男の子は、ジュラシックワールドの恐竜たちのカードが詰まったカードパックを商品に想定して、パッケージデザインをしていました。

このように、レアやノーマルなどカードの種類ごとにカードパックを設定し、
デザインも変えていました↓
ちなみに、そのうちの一つ、『かみジュラシックパック ユニーク』の“かみ”は、
若者言葉でいう“神対応”などの“神”の意味だそうで、
そこから連想して、「天使の翼」や「天使の頭の輪っか」をデザインに取り込んでいました。↓
箱の中にカードがたくさん詰まっているというだけでワクワクしそうなのに、パッケージを見て、よりワクワクが増しそうなパッケージデザインだなと思いました。


こちらの方は、箱の中身を「ウイスキー」と想定してパッケージデザインをされてました。
商品名は『SILENT NIGHT』。
「ウイスキーは、ぼんやりとした明るさの中で夜呑みたい。そのイメージを考えていったら、月明かりの下でお酒を呑む」イメージが湧いて、パッケージのデザインに取り入れたそうです。
枝に止まってじっとしているフクロウが、静寂な夜をより感じさせてくれますね。
ウイスキーを嗜んでいるシーンを、「月明かりの綺麗な静かな夜」という世界観で表して伝えているパッケージデザインだなと思いました。ロマン。


こちらの方は、バイクに乗る人用のウォレットを商品にしたパッケージをデザインされてました。バイクに乗る人が落とさないようにベルトにつけるバックのようなものだそうです。こういうものだと見せてくださいました。↓
今回想定した商品の名前は『Bald eagle』でハクトウワシのことだそうです。
ハクトウワシはアメリカの鷲(ワシ)で、アメリカンバイクから連想して名付けたそうです。
パッケージには、上の写真にあるような革製品で使う金具や縫い目をデザインに取り入れていました。
商品がそのままパッケージになったようなデザインで、面白いアイデアですよね。


こちらの方は、箱の中身は「ろうそく」を想定してパッケージのデザインをされてました。
「これからの時期はクリスマスなので」とクリスマスを意識したデザインになっています。
「でもクリスマス以外にも使って欲しいので」と、パッケージの裏面に『非常時にも!』と書かれてありました。
パッケージには季節を意識した期間限定パッケージというものもありますよね。「ろうそく」が、クリスマスというイベントをより楽しませてくれる商品に思えるパッケージデザインになっていました。


こちらの女の子は、『ピーチャスイート』という、桃の入ったスイートポテトを商品に想定して、パッケージデザインをしてくれました。
マインドマップで、自分の好きな食べ物を連想していき、その中から2つの食べ物を組み合わせて、新しいオリジナルお菓子を考えてくれました。↓
桃入りスイートポテト、美味しそうですよね。
パッケージも美味しそうな世界観になっていると思います。

他にも、
たとえば、商品名はよく見えるところに大きく書いてあった方が良いと考えてくれて、そうしていたり、また商品名の近くにスイートポテトの絵が大きく描かれてあったり、側面には桃の絵が描いてあったり、『あけ口』や『アレルギー成分表』の表記もあったりと、
パッケージに表すいろいろな情報を整理しながら、どこにどうあったらいいか?をよく考えながらデザインしてくれたなぁと思います。


こちらは、玄也先生の作品です。
「大福」を商品に想定したパッケージデザインをされてました。

「大福のモチモチ感や、大福を触ったときの感触」から「赤子(赤ちゃん)」を連想し、商品名も『赤子大福』と名付けられてました。

「赤子」という文字で、赤ちゃんの顔をデザイン。↓
箱の中には、縦横3つずつ大福が並べられる想定とのこと。
それに合わせて、赤ちゃんの顔を側面に3つずつ描かれていました。

赤ちゃんの顔の表情がそれぞれ違っていて、遊び心が効いたデザインですよね。
見ていて楽しい。

また、赤と白を基調にした色味は、大福の色と赤子の「赤」にかかっているそうです。
「出産の内祝いに喜ばれそう」と他の参加者から声があがりました。



***

今回は、箱の中に入る商品も自分で考えて、
そのパッケージをデザインするという、
結構難しい内容だったと思います。
(私自身、試作品を作りながら、難しい〜と思いましたし。。)

でも。

参加者の皆さんの作品を観ると、
「アイデアをカタチにする」ということが出来ているだけでなく、

入浴剤のディスカッションで、皆さんそれぞれが感じたことが活かされてる
ように感じるところもありました。

例えば、

・中身が何かがわかりやすいパッケージ
・見てワクワク期待するようなパッケージ
・商品の使用シーンを、それをイメージする世界観で表して伝えるパッケージ
・中身とのギャップのないパッケージ
・商品の使用シーンを想起させるパッケージ
・情報が整理されていてわかりやすいパッケージ
・商品の特徴(色など)を採用してイメージを膨らませたパッケージ

など、「パッケージデザインってこうかな」とそれぞれの人が感じとった、
様々なパッケージの在り方があったと思います。

実際、私たちの日常の中にあるいろんなパッケージのデザインも、
様々な在り方や考え方があると思っています。

それを、教科書的に学んでもらうよりも、
皆さん自身に“商品を手にする人”側から見て感じとってもらうことで、
こうして、様々な在り方のパッケージがアウトプットされたと思います。

どの作品もよく考えられてて、工夫があって、
しかも十人十色で、素晴らしいです。
楽しかったですね。
お越しくださった皆さま、ありがとうございました!


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