8月の準備

一昨日、まるでのアート教室が終わり、自分の中でいろいろな反省点があり、悶々としている。

一言で言えば、もう少し早い段階で制作内容を決定し、準備について余裕を持って行うこと。

実は「紙版画」自体は、第1回目を終えた直後に直感的にこれだ!と決まっていたのだが、それから「本当にこれで良いのか?」と問答の時間がかかってしまった。

この状況を冷静に省みた時、その理由の一つに、まるの子供達のことをまだよく知っていないからとも言える。

つまり、まだ子供達との関係性が築けていないこと。

であれば、答えはシンプルである。子供達と呼吸を合わせていきながら、少しずつその関係性を築いていくこと。私はこの状況を楽しんでいきたいと思う。
 
 
具体的にどんなことを?

まるでのアート教室は、「みんなのアート基礎講座」のように年間計画でプログラムが決定してはいない為、アートを楽しむ場を創出する立場の人間からすれば、その組み立ての工程が「全体→部分」ではなく、「部分→全体」でそのアート教室のイメージを形作っていくことになる。

実はこの「部分から全体をつくっていくこと」が個人的にとても難しいと思っている。

例えば、その組み立てを「絵画制作」に例えるなら、画面構成を意識しながら全体のあたりをつけ、人物などのモチーフ全体をぼんやりと描き始めることと、顔や手などの部分から描き始め、最終的に全体の作風が成立する描き方。

例えば、家を建てるのに、誰でも土台基礎や柱など基礎構造全体を組み立てから、徐々に内部の細かい装飾へと進んでいくはずだ。決してその逆のベクトルは考えられないはずだ。

ここではそれぞれの例の後者を指す。

けれど、まるでのアート教室では、今のところこの「部分から全体を描いていく」がぴったりと来る。各回のアート教室で、子供達やその保護者、スタッフの皆さんとのやり取りから少しずつ子供達の個性や発達障害の特徴・様子が垣間見えてくるように思う。

例えば、今回は「紙版画」というボールを子供達に投げてみたら、結果として前回のブログで記述した結果が帰ってきた。このキャッチボールはまさに生きたコミュニケーション。ボールを投げる、受けとるという単純な行為の中で、続いていく為には何が必要なのか?

ただ私はやっぱりこのキャッチボールを楽しく演出していきたい。

余談だが、最近、自分が料理人にも似た感情に駆られることがある。(料理人ではないので、きっとそうなのかな?の想定で・笑)

例えば、これから来客する方たちがどのような人たちか事前のリサーチや今の季節や旬の素材、器や食事をする時間と空間など、様々な内的・外的要因を一度自分の中に取り込んでから、ミキサーのようにぐるぐると混ぜ込んで、出てきたものがどうやら「今一番にお客様が喜んでくれる、お・も・て・な・し!」といった具合に。
 
 
 
第1回、第2回のアート教室では、平面作品でモノトーンの制作が続いた為、次回は漠然と「色彩・カラフル」・「立体作品」などのキーワードが頭の中を浮遊している。

何かまるの子供達が楽しんでくれる良いアイデアはないだろうか?

代表の村本さんが、「次回の休憩時間にはカキ氷を出そうかな?」というフレーズが飛び込んできた時、そこに「季節感」と「もっと力を抜いていこうよ!」といった言葉が浮かんできた。

よしあれだ!

前々から自分も試してみたかったし、8月の季節にも合うし、きっと子供達も楽しんでくれるに違いない!

そう思ったら吉日!連休の最終日はサンプル作りを行うことに。



風船と和紙で作るランタン


基本材料
風船、半紙(和紙)、百円ショップのランプ、水のり、他

直径20cmほどに膨らませた風船に、
ちぎった半紙(和紙)を刷毛と少し水で溶かした水のりで一層目を貼って行く。

下の台に接する面に、輪上の麻紐を仮置きし、
二層目の半紙を同じく貼って行く。

二層目が貼り終わったら
透明水彩絵具で表面を着彩

着彩終了後、乾燥させる。
連日の猛暑であれば、乾燥に1日ぐらいで十分と思われる。
明日、中の風船を割って取り出し、半紙で出来た外皮がランタンそのものになる。


実際にやってみると、ネットなどから見て想像していた制作の難しさとは異なることが肌で感じることができた。

アート教室を2回終え、10人前後の子供達に自分がなりきり、制作をするシミュレーションをしてみたとき、

  • あの子ならこの半紙の糊付けに保護者やスタッフの手が必要かな?

  • テーマを「夏の思い出」として、具体的な形を描いていこうと思っていたが、糊が半乾きの表面に描いていけるのかどうか?

  • 半紙ではなく色彩豊な紐をぐるぐると巻き付けていく方法も選択肢の一つにしようかと思ったが、かえって現場が、子供達の頭の中で混乱しないだろうか?

  • もっとシンプルなディレクションでよいのではないだろうか?それよりも色つきの半紙を自分の好きな形に切って貼って行く方がよいのではないだろうか?などなど・・・

とにかくこれまでの経験から、いろいろな場面を想定し、約10人の子供達の個性や特徴は違えども、その落とし所はどこなのか?その中で、子供達全員の「自由」が確保された、かつ決して息苦しさを感じない制作の許容範囲はどこなのか?

そんな訳で、もう少し時間をかけてみようと思います。





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