関係人口?

前回のブログでご紹介させていただいた劇作家・演出家の平田オリザさんの著書「わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か」を読み終え、引き続き「下り坂をそろそろと下る」を読み始めました。

基本的に私は特に気になった人の本を数冊読む習慣がついてしまっていて、不思議とその本の中に紹介されている別の著書やキーワードが、また次の本を紹介してくれていて、何と言うか興味関心の無限の連鎖が続いてしまいます(笑)


さて本題ですが、同書の第1章「小さな島の挑戦―瀬戸内・小豆島」の中でとても興味を引かれた言葉・概念が出てきました。


それは「関係人口」です。

皆さんはこの言葉を聞いたことがありますか?

もし今巷でよく聞かれている言葉でしたら勉強不足で申し訳ないです。

簡単に概要だけご説明すると、

同氏が「コミュニケーション教育」を通して、四国に住む方々と演劇を介し関係を深めていく経緯の中で、香川県小豆島の「Iターン増加」について言及されています。

その増加の理由に、5つのポイントを挙げ、


  1. 離島とはいえ人口規模が大きく観光などの基幹産業があって雇用確保がある。
  2. 豊かな自然
  3. 島外への「意外な便利さ」
  4. 島の知名度(「二十四の瞳」や「八日目の蝉」の舞台)
  5. 行政のバックアップ

その中で、2010年から始まった瀬戸内国際芸術祭に応じて、小豆島町の塩田幸雄現町長が、観光文化政策で「観光から関係へ」をテーマに、観光による「交流人口」と、Iターンなどの「定住人口」の間に、「関係人口」という新しい概念を設定した点、です。



“芸術祭を契機に一定期間、小豆島に滞在した若手のアーティスト、クリエイターたちは、ただ単にそこで作品を創るだけでなく、皆それぞれ、なんらかの形で島民と関係を持ち、緩やかに共同体の中に参加していく。その中から、芸術祭後も島に足繁く通う者や、定住をする者、あるいは半年を大阪、半年を小豆島で暮らすといった新しいライフスタイルを選択する者が出てきた。” (P.41より抜粋)



詳細については、この場では省略させていただきますが、

私はこの内容を聞いたとき、ふと自身の生活に当てはめて想像してみました。

今ゆっくりですけど、アートコンパス以外で、地域でアートやデザイン、工芸、ものづくりなどで活動されている方々とお会いし始めています。

正直な実感として、「おやおや?(表現が不適切かもしれませんが)地域には隠れたアーティスト(自身の興味関心を実現している方々)がいっぱいいるぞ!」と感じています。

もしこれから5年後、10年後、この関係性が広がりを見せ、そのゆるやかなネットワークを母体に、この常陸の国のアートの「関係人口」を視覚的に表現できたら、面白いことになるなぁ~と、なんだかわくわくが止まりません。

その関係性はもちろん、利益共同体でも、地縁血縁型の共同体でもなく、その中間に位置する「関心共同体(実践共同体)」として、またこのゆっくりと下り坂を降りているこの国の、地域に必要とされる、そして地域の文化を育む楽しいアートな共同体(アーツ・コミュニティ)として!

名付けて、「常陸の国 アート共同体!」みたいな?

最近、お気に入りの喫茶店より


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