陰翳礼讃とエコロジー

今年の初め頃、このアート基礎講座のカリキュラムを考案中に、その講座内容について、ただ美術の基礎内容(色彩や造形など)に沿ったものだけでなく、日本の文化や季節・地域性を取り入れた内容のものも取り入れたいと考えていました。

そのものづくりを通して、その背景にある文化の価値観や私たちのアイデンティティを学び知ることができればと・・・。

そして(私は何でも自分の気持ちを原点にスタートします)先ずは自分がやってみたい講座=「手ぬぐいづくり」が7月の講座となり、次に8月は何が適しているかなぁ〜と考えていると、行灯が思いつきました。

時期的にお盆が過ぎ、秋の訪れを感じながら、この夏の思い出をヒグラシや虫の音を聞きながら振り返るのにちょうど合っているかなと。


コチラは試作品です。
※絵柄の意味・内容につては後日お伝えします。
大きさ:横10cm×奥行き10cm×高さ13.5cm
材料:プレゼント用の箱、百円ショップのLEDライト、障子紙、他


そしてテーマを「陰翳礼讃とエコロジー」としました。

私たちの今の生活に於いて、なかなか行灯を目にする機会はないかと思います。古都や田舎などに古くからある日本家屋や、老舗の旅館や料亭などでは見受けられるかもしれませんが、自宅や会社・学校など私たちの普段生活する空間にはほとんどないのが現状だと思います。

あればあったで部屋の中がほとんど真っ暗で、部屋の片隅に行灯が置かれていても、夜の活動効率が下がってしまい、かえって部屋の電気をつけてしまうかもしれません。

ですが、今回の講座では、一見この不効率にも思えるこの暗闇の中のほのかな光と陰に隠された私たちの美的価値観を行灯づくりを通して振り返りたいと思います。

そしてその先に、私たち人類の大きな課題でもある「エコロジーの問題」にも(欲張って)言及していければと思います。

そんな訳で、また前回と同様に今月28日開講までの間、私のおしゃべりにおつきあい願います(笑)!

それではまた。


追伸:
今、谷崎潤一郎氏の「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」を読み返しています。
次回のブログでこの本の内容について少し触れたいと思います。お楽しみに!






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