紙版画について

木版画制作に引き続き、紙版画制作のプロセスについてお伝えしたいと思います。

紙版画といえば、幼稚園児から小学校低学年の児童まで幅広く行われている図画工作の内容です。その理由として制作自体がそんなに難しくなく、版画そのものの醍醐味を体感できるからだと思います。そして、その材料や道具も手軽に入手しやすいものであることも。

けれど紙版画の世界も侮ってはいけません。その限られた素材、紙の種類やその肌触りを変えてみたり、絵具の色を変えてみたり、切り方や摺り方にも工夫してみたりするだけで、その世界観は無限です!

今回お伝えする紙版画は、木版画と連動して以下の材料と道具で行いたいと思います。

  • 材料:画用紙、版画用インク(水彩絵具とでんぷん糊を混ぜたものでも代用できます)
  • 道具:鉛筆、消しゴム、ボールペン、はさみ、カッター、のり、トレーシングペーパー、カーボン紙、ローラー(ローラーがない場合、筆でもOK)、バット(ローラーとインクを入れておく)、新聞紙(養生用)

以下、紙版画の制作手順です。


1.下書き
ハガキサイズ(100×148mm)の枠が書かれた下書用紙に鉛筆でイメージを描いていきます。
朝日の富士山を背景に、ニワトリの親子たちを描いてみました。
 
先ほど描いた下絵の上にトレーシングペーパーをのせ、ボールペンで書き写していきます。
 
ここの作業が少し難しいかもしれません。
カーボン紙を使って、画用紙に先ほどトレースした絵柄を転写していくのですが、
それぞれのパーツを重ね合わせていくので、分解したパーツごとに写していきます。
 
こちらが全てのパーツとなります。まるでプラモデルのようです。
 
各パーツをはさみやカッターでさくさく切っていきます。
 
コチラは切り抜いたパーツをのりで付けたものです。
木版画で言うところの版木にあたります。つまり版紙?
 
 
 
2.摺り
朱色のインクを使って摺ってみました。

このサンプルを制作してみてわかったことは、2点ありました。
一つ目は、版紙として用いた画用紙が思ったよりも厚みがあり、重ねた箇所がうまく摺れなかったこと。→改善策:当日までにもう少し薄い画用紙の用意。
二つ目は、カーボン紙で転写した黒色の線まで写ってしまったこと。
改善策→画用紙に下絵を転写する際、トレーシングペーパーの絵柄を裏返しにする必要なし。



紙版画のプロセスは以上となりますが、摺り終えた年賀状が乾いた後に、木版画と同様に、余白に賀詞やメッセージを書き込むのも良いですし、また上から違った水彩絵具を着彩してみても面白いかもしれません。


追伸:コチラは後日、上記2点の改善策を行ってみた作品です。今度はうまくいきました!




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