第4回みんなのアート基礎講座を終えて

7月28日午後、第4回みんなのアート基礎講座『Moving〜うごきときもち〜』を行いました。ストップモーション動画(コマ撮り動画)制作を通して、ビジュアルコミュニケーションについて学んでいくというデザイン講座で、今回も以下のような4部構成で講座を行いました。

I『ストーリーテリング』
II『試作動画制作&使い方レクチャー』
Ⅲ『ストップモーション動画制作』個別ワーク
Ⅳ『発表&上映』

動画制作は、水彩道具などと同様に、あくまでツールの一つであり、デザイン講座としては(正確には「デザイン思考を取り入れた造形表現活動」としては)、「アイデアをカタチに」ということと、「デザイン思考で大事にされていることを体験してもらう」ということを講座の中に盛り込んでいます。
もし、メディアアートとしての講座であれば、また違った切り口になったと思います。

そんなわけで今回は、ビジュアルコミュニケーションを学ぶ機会と捉え、デザイン思考で大事にされているプレゼンテーション手法である「ストーリーテリング」を体験してもらう機会を盛り込みました。


I『ストーリーテリング』
まずは「生き物といえば?」というお題を投げかけさせていただき、その生き物を主人公にして、あらかじめ用意していた用紙に「落とし穴の先に広がる世界」をそれぞれ描いて頂きました。そして完成した絵を見ながら、どんなお話を描いたのか?それぞれストーリーテリングして(物語を語って)いただきました。




以下、参加者の方の素晴らしい!作品をご紹介するとともに記録させて頂きたいと思います。

お題『落とし穴の先に広がる世界は?』

こちらの作品は『ゾウが海の世界を見つけた』というお話を描いたもの。↑


『失われた国を探せ』というタイトルで、主人公のカエルが体の一部みたいなものを見つけて、それをたどっていたら海の国へ行き、海の中にも体の一部を失ったいろいろな動物がたくさんいた。外の世界では太陽がキレイに光っていたのに、地下の世界では月しか出なくて、外に出ようと思ったらふさがってて出られない。そこで月が「この世界は失われているから、助ければ外に出られる」と言ったから、主人公のカエルは、この世界を救おうと冒険に出た。というお話を描いたもの。



お話のタイトルは『地下の家』で、主人公のニワトリのおうちは本当は地上にあるんだけど、ないから探してたら、この穴に落ちてしまって、するとそこは新しい家でした。番号のついてるおうちがずっと並んでいて、一番最後の番号のおうちはずっと先なので疲れちゃう。というお話の作品でした。


主人公のマンタが海で泳いでいて、落とし穴に入ったら、富士山にかかるいわし雲と同様、マンタが雲になっちゃう。(黒で塗られたマンタを裏返すと白いマンタになる)というお話でした。

こちらは『ドラゴン危機一髪』というタイトルで、ドラゴンが空を飛んでいたら、穴のところからすごいイイ匂いがするので誘われて入って行くと、食虫植物に食べられちゃうけど、食べられないように逃げた。というお話でした。


野原にいた紫のお花が、いい匂いがしたから下に降りた。りんごも落ちていた。というお話でした。


「おさかなをくわえたどらねこ」というタイトルで、おかあさんがお魚を焼いていたんだけども、猫ちゃんがお魚を取って行ってしまって、下に猫ちゃんのすみかがあって、そこでお魚を食べる。というお話でした。


タイトルは「モルモットのパラダイス」で、このモルモットちゃんは、某ふれあい動物園で子どもたちと触れ合っていました。それなりに楽しく生きてましたが、いつも人間に急に持ち上げられたり、眠いのに起こされたりしていたので、ちょっとストレスが溜まっていました。そこで「ちょっと出かけてみようかな?」と思い、出かけたら、ポコッと穴に落ちてしまいました。すると、そこはなんと、大好きな草原で草がたくさんあって、すべり台もあって、水浴びもできる、モルモットのパラダイスでした。やった〜!幸せだ〜!というお話でした。


こちらの作品のタイトルは「夏になったから」です。金魚鉢の中にいた赤い金魚さんは、夏になったので「ちょっと日焼けがしたいなぁ。黒くなりたいなぁ。」と思って、下に降りてみると、黒くなれました。黒くなるとまた戻って金魚鉢の中で、「あの子黒くてイイわね」と思われて羨望の的になりながら泳いでいました。というお話でした。


こちらの作品は、ネコが星を取りに行って遊んでたら、お母さんに「どこに行ってたの?」とおこられて、また下に戻ったら、今度はお星さまになった。というお話でした。


タイトルは「海の中の村」で、ペンギンがすべり台と間違えて穴に落ちたら、海の中に村があった。というお話でした。


タイトルは「ドラゴンの大戦争」で、ドラゴンが穴の中に入ると、そこには、スケルトン、ゴーレム、サイクロプス、デスワーム、ワイバーンなどのいろんな種類の伝説の生き物がいました。というお話でした。


それぞれ、主人公のいる世界を想像してもらいながら、お話を考えてくださいました。
ストーリーテリングしてもらうには、主人公との心の距離を縮め、主人公になりきったり、気持ちを寄せながら、想像の世界の中で主人公の動きを考えてもらうことになります。
今回のテーマである『Moving〜うごきときもち〜』とはこのことからきています。

デザイン思考でもまた、主人公(対象となるユーザー)に気持ちを寄せ(共感し)、そのユーザーが置かれた世界を視覚的に表しながら、アイデアによって問題解決をしていく様を、ストーリーテリングというプレゼンテーション手法で伝えることで、またそれを観る人々の共感を得ていく、という試みをします。

今回の講座では、時間の関係で、「共感と意外性」という2択で「シールアンケート」を行い、参加者の皆さんからフィードバックをもらう機会を設けました。他者の作品にもまた心を寄せていただくこと、自分の想像した世界は他者と共有できること、をなんとなく体感してもらえてたら嬉しいです。
講座では少しこのへんが私の説明不足だったと反省し、ここに補足として書かせていただきたいと思います。


II『試作動画制作&使い方レクチャー』
次は、Ⅰの「ストーリーテリング」で作って頂いた作品を、Stop Motion Studioというアプリの使い方をレクチャーしつつ、実際に主人公を動かして動画にしてみる、ということをしました。

ストップモーション動画は、写真(静止画)を何枚も撮って、それを繋げることで動画になるというもの。
皆さんアプリの使い方の飲み込みが早くて、早速動画制作に夢中になっていました。


Ⅲ『ストップモーション動画制作』個別ワーク
ここからは個別ワークに入っていきます。
ここで、今回はストップモーション動画制作においての表現方法を以下3つご紹介させていただきました。

①うごかす
②さしかえる
③かく・けす・かく

また画材道具も、カラーペンの他に、水彩動画・クレヨン・色画用紙・折り紙、そしてホワイトボードなども自由に使って頂いて制作して頂きました。


Ⅰの「ストーリーテリング」で作った作品を発展させたものを制作しても良いし、また新しく作品を考えて作ってもいいですよ、とご案内させて頂きました。

ホワイトボードを使って「かく・けす・かく」の表現方法にチャレンジしてくれたり。↓


 親子共同作業で、水彩画や折り紙を使って動画制作して頂いたりしました↓



Ⅳ『発表&上映』
最後は、完成したストップモーション動画の上映会をしました。

完成した動画作品は、現在、玄也先生がアートコンパスのYouTubeチャンネル開設作業とともに準備してくれていますので、完了次第、またご紹介できればなと思っております。

追記:動画のアップロードが完了しました!下記のリンクより視聴できます↓

とにかくそれぞれに素敵な作品ばかりで、素晴らしかったです!

今回のストップモーション動画は無音での完成なので、「音楽をつけたくなる」という参加者の子からの声も頂いていて、今回はデザイン講座としてのチャレンジだったわけですが、いつか音楽関係の知り合いをお招きして、純粋に映像制作としての講座も企画してみたいな、と夢が膨らみました。

取り急ぎ、imovieというアプリに今回作った動画を取り込むことで、効果音やBGMが付けられますので、よかったらチャレンジしてみてください♪

ご参加してくださった皆さま、ありがとうございました!





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