第5回 多様な学び実践研究フォーラム

つい先ほど、東京から戻ってきました。

というのも、本日午後、早稲田大学戸山キャンパスで開催された「第5回多様な学び実践研究フォーラム」(主催:多様な学び保障法を実現する会、NPO法人フリースクール全国ネットワーク)に参加してきました!

とにかく、この約5時間の間で、たくさんのことを新たに学び、たくさんの情報と知識を得て、またたくさんのことを感じることができたので、この場では取り急ぎ、その「フォーラムの概要」と「アートコンパスに活かしていけること」の大きく2点についてお伝えしたいと思います。
 
 

概要


第5回多様な学び実践研究フォーラム
【日時】2018年2月24日(土)
【会場】早稲田大学戸山キャンパス
【主催】多様な学び保障法を実現する会・NPO法人フリースクール全国ネットワーク
【プログラム】
 12:00~14:00 多様な学びフェア
 14:00~14:15 オープニング
 14:15~15:50 多様な学びで育った若者シンポジウム
 16:00~18:30 シンポジウム「民間と自治体との連携・協働による“多様な学び場”づくり」
 18:30~19:00 多様な学びフェア
 19:00~20:00 懇親会
 ※私は13:30から参加し、懇親会と明日行われる分科会には不参加
 ※詳しくは、同フォーラムホームページをご参照下さい。
 

多様な学びフェアの様子:各参加団体のブースがありました。

 

そもそもなぜこのフォーラムに参加したのか?


実は2年ぐらい前から、アートコンパスの活動と平行して、教育全般についてのリサーチを行っていました。リサーチと言ってもただ関連する本を読む程度でしたが、特に国内外の公教育以外の教育、つまり「オルタナティブ教育」についてです。

このオルタナティブ教育とは、直訳すると「選択肢教育」。つまり、「主流の公教育とは対岸に位置する教育」のことを指し、世界の教育史から見ると、不登校の子ども達をはじめ、公教育の仕組みを受け入れることの出来なかった子ども達の受け口として、また他の選択肢として、例えば、フリースクールやシュタイナー、イエナプラン、サドベリー、フレネなどの考えを導入した民設運営の学校教育のことを意味します。

かねてから私は、多様な時代を迎えている今、公教育はあくまでも数ある学びの選択肢の一つでしかなく、また学びの観点から言及すれば、学びの場は学校だけでなく、家庭や会社や社会の中にも存在し、「公教育の絶対的な雰囲気」に対して違和感を感じていました。(でも私はどっぷりと公教育を受けてきた人間ですが・笑)「十人十色」の如く、学びの術も多様なかたちが人の数だけ存在し、各々がそれを自由に選択する権利もあるはずだと考え、「じゃ~どんな考えの学びがあるの?」と、国内外の様々なオルタナティブ教育についての本を乱読していたというわけです。
※ご参考までに、私が読んだお勧めの本を文章の最後に記載します。

確かそのときだったと思います。今回の主催団体である「多様な学び保障法を実現する会」の存在を知ったのは・・・


 
 

論点その1: 目的(何の為に?)





さて、今回のフォーラムですが、私の関心を引いたのはもちろん「民間と自治体との連携・協働による“多様な学び場”づくり」です。今後、アートコンパスが「包摂的な学びの場」を地域の中で創出していく上で、「多様な学び場」は同じく外すことのできない重要な概念であり、このフォーラムを通して何かを活動内容に反映していけると考えたからです。

実行委員長の喜多明人氏(早稲田大学文化構想学部教授)から冒頭で、表題の問題提起が話され、昨年2月から施行された「普通教育機会確保法(文部科学省ページへリンク)」のお話を踏まえて、私が全く把握していなかった興味深いお話がいくつもありました。



その中でも特に気になったのは、憲法にも記載されている「普通教育」という言葉の意味とその印象についてです。

普通教育というと、一般的に「=公教育」と考えてしまいますが、不登校の子ども達も含めた、学校内・外の全ての子ども達が公平に受けることが出来る教育のことを意味する点です。つまり、これまで認められていなかった「学校外の普通教育」が、この「普通教育機会確保法」によって公式に認められたわけです。

まだまだ私が勉強不足で、言葉足らずですが、実は明治時代に「小学校令」というものがあり、その中では、驚くことに学校外での義務教育が認められていたそうです。しかし、戦時中、1941年の「国民学校令」において、私立学校も認めない、国民学校の一本化に義務教育が移っていきました。そして戦後の「学校教育法(1947年)」にもこの考えを引き継がれ、戦前に存在した「学校外の普通教育」が認められないまま現在まで至っていた事実。その結果は皆さんもよくご存知のように、「不登校」や「いじめ」や「ひきこもり」の問題などに代表される社会問題が起こりました。

話を戻します。その様な画一化された仕組みでは、多様性が謳われている今日に逆行するものであり、「義務教育は学校内だけ」には限界に来ています。

そして今から3年後に、この「教育機会確保法」の見直しが行われるというのです。
 
 

論点その2: 方法論(どのように?)


シンポジウムの様子:公設民営の実践例を生で聞くことができました!


このような背景のもと、その3年後の見直しに向けて、私たちが具体的に実践していく方法として「公設民営」型の「多様な学びづくり」があります。つまり、【民間で蓄積してきた「多様な学び」の実践、経験を土台として、法に依拠した公的支援をうける有力な方法の一つ」・・・】(資料より抜粋)

そしてその実践形式には、「自治体の委託事業」「指定管理事業」「公設民営」「教育特区」などがあり、それぞれの方法で運営してきた各施設団体より公設民営の現状とその課題について貴重なお話を聞くことができました。(以下)

1.委託事業・・・・・射水市「ほっとスマイル」
2.指定管理者・・・川崎市子ども夢パーク「えん」
3.公設民営・・・・・高根沢町「ひよこの家」
4.教育特区・・・・・葛飾区「東京シューレ葛飾中学校」
 

 

アートコンパスに活かしていける3つのポイント

 
正直、まだ今日のお話全部を整理できずにいる状態ですが(笑)、シンポジウム終了後、心に感じた3つのことがありました。(以下)

① 日本の普通教育の底流(今後の大きな動向)を確認することが出来たこと(上記の通り)

② 4社のシンポジストの方々から「公設民営モデル」をお聞きした後、今後アートコンパスが3年後の法人化に向けて動き、どのような形態で地域に美術教育を波及していけるのか?その具体的なイメージを連想することができたことと、そのときまでに実践例を一つ一つ構築していく目標ができたこと。

③ 今年度よりスタートする予定の「みんなのアート広場」のイメージが、以前から気になっていたフリースペース(フリースクール)の考えと重なり、より具体的にイメージ(子供からシニアの方まで誰もが参加できるアートのフリースペース)が見えたこと。

上記、②と③については、改めて次回の「仮称:振り返りと今年度の計画」の中で言及していきたいと思いますので、お楽しみ下さい!


とりあえず、今日はここまでにします。もう寝ます(笑)


オルタナティブ教育に関連する参考書籍:
  • 自由学校の設計 きのくに子どもの村の生活と学習/堀真一郎・著/黎明書房
  • 「超」学校/ダニエル・グリンバーグ(大沼安史・訳)/一光社
  • モンテッソーリ教育法 子ども-社会-世界/マリア・モンテッソーリ(クラウス・ルーメル+江島正子・共訳)/ドン・ボスコ社
  • コルの「子どもの学校論」/クリステン・コル(清水満・訳)/新評論
  • 東京シューレ 子どもとつくる20年の物語/奥地圭子・著/東京シューレ出版
  • こんな学校あったらいいな 小さな学校の大きな挑戦/辻正矩+藤田美保+守安あゆみ+中尾有里:共著/築地書館
  • オランダの教育 多様性が一人ひとりの子供を育てる/リヒテルズ直子・著/平凡社
  • 公教育をイチから考えよう/リヒテルズ直子×苫野一徳・著/日本評論社
  • 崩壊するアメリカの公教育 日本への警告/鈴木大裕・著/岩波書店
  • 教育の完全自由化宣言! 子どもたちを救う七つの提言/天外伺郎・著/飛鳥新社


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