4月の個別アート支援を終えて




昨日と今日の二日間、とても暑い日が続きましたね。

今日の午前中は4月の個別アート支援の日でした。

そしてその内容はというと、いつものコンテではなく「コラージュ」という技法で「動物」をテーマに表現していきました。

そもそものきっかけは、前回までのN子ちゃんの様子や成長を見ていて、初めのころの感性的な画風から客観的な要素が作品の中に混ざりつつあるのを感じていました。

それはある意味、N子ちゃんの表現の幅を少しずつ広げていく良い時期に来ているのではないかな?と。

そこで、前回のアート支援終了後にお母さんを通してN子ちゃんに「コラージュをやってみない?」とお誘いし、今回にいたったというわけです。

結果から言うと、N子ちゃんはコラージュに「ドはまり」したんじゃないかと思うくらいとても制作を楽しんでいました。

また隣ではお母さんも一緒に・笑!




①コラージュって?


制作のはじめ、私の試作品(トラとキリン)やコチラで準備してきた様々なコラージュ作品をプリントしたものをN子ちゃんにお見せしながら「コラージュって一体何なのか?」を説明していきました。



コラージュ(collage)とはフランス語で「貼り付け」を意味し、つまり糊で画用紙などの台紙に貼れるものであればどんな素材(新聞紙、チラシ、アルミホイルなどなど)でも利用できるわけです。

今回の素材は私の方で用意した様々なチラシを活用し、テーマの動物については、ちょうどN子ちゃんがお庭で興味を示している「トカゲ」に決定!


② 素材選び


次に集めてきた素材(チラシ)の中から、トカゲを表現するのに使ってみたいチラシを選別していきました。ここではお母さんと私も加わり3人での協同作業です。

その選別の目安はとても簡単で、例えばトカゲの主な色が「茶色・青・黒・赤」の4色だったとします。その4色が写っているチラシをどんどん選んで使わないものと分けていきます。

また他にも、その4色ではないけれども、チラシに写っている模様や被写体が気になるものを利用しても当然OKです。(最終的に約15枚くらい選べた感じでした)


③ 仮置き


そしてトカゲの体の構造(頭部・胴体・脚・しっぽ・他)をN子ちゃんと図鑑を見ながら確認し、各々のパーツをハサミを使ってカットしていき、台紙となる画用紙(八つ切りサイズ)の上に置いていきます。

人によっては、この段階で手が止まってしまったり、パーツをカットするのに躊躇してしまうお子さんもいたりするのですが、N子ちゃんの勢いは止まりません。

カットしては台紙の上に置いてその形を確認し、「ちょっと違う」と思ったのか、思い描く正確なフォルムを求めるように細かく調整していく様子が見られました。

またしっぽの時には、次の糊付けの段階で「ちょっと長さが足りない」と考え直し、長さを足すなど、ハッキリと「自分の美意識」を軸に制作を進めている様子が見られました。

別な言い方をすると、それは明らかに「自律的に表現している」現れではないかと感じました!

そして、私の心の中では「よし!今回コラージュにして良かった」と・笑




④ 糊付け


最後に仮置きしたパーツを糊でどんどん貼っていきます。

N子ちゃんはトカゲのパーツを貼っていくと同時に、背景のイメージ(余白)を具体的に固めていったようでした。

カットしていらなくなったチラシの部分をそのままの形で背景に活用したり、「まだ完成じゃない」と言いながら、画面いっぱいに意識(画面構成)を持ちながら進めていく様子が見られました。


結果、N子ちゃん本人も大満足なコラージュ作品が完成!

作品からも分かるように、これまでのN子ちゃんの鉛筆やコンテを使った作品とはまた異なる彼女らしい作品が出来たのではないかと思います。

全体的に寒色(青や緑色)で統一された作品になりましたね!
右上には太陽があり、そこに向かってトカゲが走り出している様子にも見えます。
春の季節感も感じますよね。


一方、お母さんはと言うと、大きなトカゲ?カメレオン?の写真をそのまま台紙として利用して、その上に人間や動物、食べ物の写真を形に沿って切り抜いたものを画面全体の構成を意識しながら制作していました。

これもまたN子ちゃんの作品とは全くタイプの異なるコラージュ作品の出来上がりです!

細かいものを切るのが好きだというお母さん
対象の細部まできれいに仕上がっていますね!

よく見ると、まるで宇宙空間にも見えます。
左下が月面で、左上にハート形の地球
そして様々な形の星がちりばめられています!


⑤ 3人でのおしゃべり


勿論、今日もたくさんお母さんやN子ちゃんとおしゃべりしました・笑

コラージュ制作は不思議とおしゃべりしながらできちゃうんです!

コラージュ話をきっかけに、20代前半、私が世の中に対して?それとも自分自身に対して?悶々としていた頃、フロイトやユングなどの心理学にはまり、その時に夢日記やコラージュ作品にドはまりして、スケッチブックに詩(日々の魂の叫び)とともにスケッチブックに描いていた恥ずかし~お話。

20代前半のころのコラージュ作品です
タイトルは・・・「世界の果て」(〃ノωノ)

そこから20代あるあるのお話や坂本龍一の「BTTB」や死生観。

他には、お母さんたちが最近行ってきた永井一正氏の展覧会や、そこで購入したポストカードからの好きなアーティスト:シャガールなどの気付き。

やっぱりアート作品は実物を見ないとわからないよね、からの土門拳の仏像写真や、私が最近読んでいる本:ドナルド・キーン著「日本人の美意識」などなど、話のネタは多岐にわたります。

兎にも角にも、楽しみながらアートの時間を過ごせるのは本当に幸せです!


制作終了後には、N子ちゃんから「次回もコラージュをやってみたい!」とのことだったので、お母さんの方でも素材集めをしてみますとのことでした。なぜかというとコラージュの素材集めも、選び使用する素材も、その人の個性を大きく反映するからです。

次回、どんなN子ちゃん(とお母さん)のコラージュ作品が見れるのか?こちらも楽しみですね。

それではまた!


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