妖怪の紹介

それでは今回、昔の日本人たちが日常生活で起こる奇妙で不思議な出来事や現象から、妖怪ウォッチを使わず?、どのような妖怪を見てきたのか(想像してきたのか)?
茨城県の代表的な妖怪も交えて、いくつか例をご紹介したいと思います。


日和坊(ひよりぼう)



出現場所: 
茨城県の山のがけ(奥久慈周辺の山々?)
 
特徴:
夏の日和、常陸国(茨城県)の山の岩肌に現れる。晴れを司る妖怪なので、雨の日にはその姿を現さない。私たちが子どもの頃、よくてるてる坊主を軒下につるして、明日の晴れを祈ったのは、この日和坊の霊をまつるものとされるらしい。
また雨の日に、「出てきておくれよ ひよりぼう」と願うと、山奥の大きな岩に、ヌーッと姿が現れて、たちまち空が晴れ渡るという。


河童(かっぱ)


出現場所
全国各地(茨城県=利根川の河童、禰々子河童、牛久沼の河童など)

特徴:
姿形は幼児程度の大きさで、頭の上に皿、手には水かき、背中に甲羅がある。
人や馬牛などの家畜を水の中に引きずり込んでしまう。(駒引き)
人に捕らえられると謝罪し、そのお礼として魚や妙薬などを贈ることもあるらしい。
いたずら好きだが、人間と一緒に相撲を取ったりして遊んだり、水害から人間を助けたりと友好的な側面もある。

呼び名:
北海道=みんつち
関東=河童(かっぱ)
中国地方、四国、九州北部=猿こう
近畿圏、九州の北部以外の地域=河太郎(かわたろう、ガタロ)
九州の一部地域=兵主部(ひょうすべ、ヒョウスンボ)
奄美地方=ケンムン
沖縄=キジムナー
※地方によって名まえだけでなく、その習性にも差異が見られる。



付喪神(つくもがみ)



特徴:
長い年月(百年)を経た道具・器物などに、神や精霊(霊魂)などが宿り、人をたぶらかしたりする。
そのため、百年になる前に古道具を路地に捨て、「煤払い」と呼んだ。


蜃気楼(しんきろう)


特徴:
蜃(しん)とは、蜃気楼をつくりだすと言われる伝説の生物。その姿形は巨大なハマグリ又は竜と言われている。蜃(しん)が「気」を吐いて「楼」閣を出現されることから、その名が付けられている。



以上、4人?、4つ?、4妖怪?ほど(呼び方の困りますが)例をあげさせていただきましたが、もちろん数ある妖怪の中のほんの一部です。ちなみに日本には千種類くらい妖怪がいるといわれ、その中で絵や資料で残されているのは約四百種類といわれているそうです。

ただ共通していえることは、私たち日本人の生活・習慣・場所にとても密接な関係があること。裏を返せば、私たち人間がいなければ妖怪も存在しないといえるのではないでしょうか?

その歴史を辿ると、古代の神々のお話から始まり、中世になってその姿形が描かれるようになり、江戸時代に娯楽としてその文化の成熟期を迎え、明治時代以降、文明開化の波が押し寄せる中、科学の光によって、その奇妙で不思議な出来事や現象がたくさん解明されてしまいまい、その妖怪の存在自体が主観的な錯覚の心理的現象(迷信)として、私たちの目の前からしりぞけられてしまいました。

しかし、それでも今なお私たちのすぐ傍で息づく妖怪たちを見ていると、私たちが生きていく上で、科学や客観的な検証だけでは欠かすことの出来ない愛されている存在であることは間違いないと思います。

ではなぜ妖怪が存在するの?なぜ必要なの?

この大きな問いの答えも合わせて、今回の講座を通して一緒に見つけていくことが出来ればと思っています。

それではまた。



参照資料:
画図百鬼夜行全画集 鳥山石燕(とりやませきえん) 角川ソフィア文庫
妖怪大百科 水木しげる 小学館
ときめく妖怪図鑑 文+門賀美央子 画+アマヤギ堂 監修+東雅夫 大と渓谷社
妖怪文化入門 小松和彦 角川ソフィア文庫
日本妖怪変化史 江馬務 中央文庫
Wikipedia


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