あなたの好きな日本の季節はいつですか?

“あなたの好きな日本の季節はいつですか?”

もしこのような質問を受けたら、皆さんはいつだと答えますか?

私の場合、今この時期だと答えます。

ちょうど桜の花びらが散り終えて、淡い色を纏った春の花々が可憐に咲き誇り、大地から一斉に萌えあがる緑が溢れ出てくる、今このときです。そして日本の四季の中で、個人的に「色の命」を一番強く感じる季節でもあります。


話が変わりますが、

先日、久々に東京へ買い出しに行った際、青山ブックセンターであるエッセイの本に目が留りました。




以前、染織家の志村さんと娘さんのドキュメンタリーを見ていたので、
「あ、あの方の本だ!」と思い、またちょうど今月の基礎講座が色彩についての内容だったので、タイトルに引かれちょっと覗く程度のつもりが読み込んでしまい、結果購入してしました。

このエッセイ集の中からある気になった一文を抜粋させていただきます。(以下)



ある人が、こういう色を染めたいと思って、この草木とこの草木をかけ合わせてみたが、その色にならなかった、本にかいてあるとおりにしたのに、という。


私は順序が逆だと思う。草木がすでに抱いている色を私たちはいただくのであるから。どんな色が出るか、それは草木まかせである。ただ、私たちは草木のもっている色をできるだけ損なわずにこちら側に宿すのである。


(中略)


私たちは、どうかしてその色を生かしたい、その主張を聞きとどけたいと思う。その色と他の色を交ぜることはできない。梅と桜を交ぜて新しい色をつくることはできない。それは梅や桜を犯すことである。色が単なる色ではないからである。


化学染料の場合はまったく逆である。色と色を交ぜ合わせることによって新しい自分の色をつくる。単一の色では底がない。・・・・自然が主であるか、人間が主であるかの違いであろう。

(「色をいただく」P.16-17より抜粋)




私は今まで水彩絵具や油絵具など様々な色彩を使ってきましたが、色そのものに対して、また色同士を交ぜることに対して、このような意識で取り組んできたことがありませんでした。正直、この文章を読んだとき、背中に何かを刺された思いがしました。

現在、巷で手軽に手にすることが出来る色彩の基礎知識について知ろうとした時、一概には言えませんが、その内容のほとんどが17世紀に「万有引力の発見」でお馴染みのアイザック・ニュートンによって色の現象が光とプリズムによって解明され、そして科学の発展とともに様々な人工色が生み出され、大量生産と効率化の恩恵のもと、私たちが何の疑いもなく生活の中に「豊かな色彩」を受け入れてきたように思います。

もし、現代の色彩学について、もう一歩前に踏み出すことが出来るのであれば、それはニュートン以前の色彩に対する豊かな創造の世界観や、自然に寄り添った私たち日本人の「色をいただく」姿勢の中にヒントが隠されているのではないかと思えてなりません。

とは言っても、今回は水彩絵具を使っていろいろな色彩を作り出す面白さを体験していきますが、今後、草木染めなど日本人の色彩に対する感性の学びについて、講師の方を招くなどして企画できればなぁ〜と頭のファイルに保存しておきます。

それではまた!


私のお気に入りの公園、反町の森公園(つくば市)にて撮影



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