妖怪の定義

もし誰かに「妖怪って何?」と聞かれたら、皆さんは何と答えますか?

「妖怪」とは・・・怖くて、恐ろしいもの?

その容姿は、人間の形をしていたり、天狗や河童のように動物と人間を合わせたような姿や、この世には存在しないような姿をしていたり。

その大きさも指先ぐらいのサイズから、山のように大きい巨人の大きさまで。

そして私たち人間に対して、親切で友好的だったり、いたずらや悪さをしたり、病や災害を及ぼしたり、最悪の場合、人命を奪ってしまったりと、どちらかと言えば良い印象よりも悪い印象が強いのではないでしょうか?

結果、妖怪という存在がとても広い範囲の中にいて、「妖怪とは斯く斯くだ!」と断定的に定義することは正直なところ難しいのではないでしょうか?

けれど、70年代生まれの私にとって、とても身近な存在だったことは間違いありません。また現在もそうであると言うことはできます。

その主な理由に、テレビやアニメーションや漫画の影響がとても強く、水木しげる先生の「ゲゲゲの鬼太郎」を始め、「おばけのQ太郎」、「妖怪悪魔くん」、「怪物くん」、近年では「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」「犬夜叉」「夏目友人帳」「ポケットモンスター」「妖怪ウォッチ」などなど、妖怪をモチーフとしたアニメーションだけでも数えきれないぐらいありますよね。

また妖怪はテレビやアニメを愛する視聴者だけでなく、歴史的に見ても日本人の子どもからシニアの方まで幅広い愛好者を獲得している対象、モチーフ、テーマだといえるのではないでしょうか?

それは上記のメディアに限らず、古くは「古事記」や「日本書紀」に始まり、「源氏物語」「雨月物語」「東海道四谷怪談」「能楽」「歌舞伎」「落語」「学校の怪談」などに時代を問わず幅広く登場し、私たち日本人の生活には(恐怖や不安の側面において)欠くことのない存在であると言えるのではないでしょうか?



「ゲゲゲの鬼太郎と目玉のおやじ」


話をもう一度、妖怪の定義に戻すと、

例えば小松和彦氏の著書「妖怪文化入門」の中では、

文字通りに理解すれば、神秘的な、奇妙な、不思議な、薄気味悪い、といった形容詞がつくような現象や存在、生き物・・・

そしてこの広い意味での定義を以下3点、

  1. 出来事もしくは現象としての妖怪(人間の恐怖や不安、神秘感などから生み出されたもの。例:小豆洗い=夜に近くの川から奇妙な反復する音が聞こえてくる現象)
  2. 人間が制御できない超自然的存在としての妖怪(万物の自然物には霊魂があるという考え=アミニズムのもと、天災などが起こると、その魂を鎮めるべく祭祀・儀礼を行う。例:その災いを起こすと見なされた鬼や天狗など)
  3. 造形化、視覚化された妖怪(古代日本では妖怪は造形化されていなかったが、中世以降、社寺の布教や娯楽が目的で視覚化されていった。例:絵物語の酒呑童子や土蜘蛛など)

に分けて論を進めています。



大江山絵巻の一部
酒呑童子:丹波国の大江山に住んでいた鬼の頭領。その名の通りお酒が好きだった鬼


また、外国人の視点から、18世紀フランスのビュフォン伯爵という博物学者はその姿をこう定義しました。

  1. 過剰(人間と違って目や手が過剰についていたり)
  2. 欠如(逆に目や手足が少なかったり)
  3. 誤った配置(本来あるべき体の場所とは違った場所にあったり)
参照:「ときめく妖怪図鑑」文:門賀美央子 画:アマヤギ堂 監修:東雅夫


ただ今回のアート基礎講座ではあまり難しく考えず、上記のような妖怪文化の知識にも当日のスライドやこのブログで簡単に触れていきながら、

みなさんの身近に起こる不思議で奇妙な出来事や現象を仮に妖怪の仕業としたとき、その妖怪はどのような姿をしていますか?

を課題文として石粉粘土を使って造形作品を制作していきたいと思います。


例えば、私の最近身近によく起こる奇妙な出来事は、、、晩酌用のビール缶がよく倒れてしまいまうことです。

これは決して私が酔ってしまい不注意で倒してしまったのではありません!(笑)

これはまさしく妖怪の仕業です!(冷汗)
名付けて「妖怪かんけり」の仕業です!!

 
 
※ 画像をクリックすると拡大します。


このように先ずは皆さんの身近に起こる不思議で奇妙な出来事や現象をいくつかあげてみて下さい。
そしてその原因が妖怪の仕業だとした時、どのような姿かたちをした妖怪でしょうか?

これが今回の講座内容となります!

そしてこの講座を通して、みなさんの「想像力」、「イメージのアウトプット力」、「素材学習力」の3点を平行して一緒に学んでいければと思っています。

次回のブログでは、古の日本人たちが日常生活で起こる奇妙で、不思議な出来事や現象から、どのような妖怪たちの存在を見ていたのか(想像していたのか)?いくつかの例をピックアップしてみたいと思います。

次回もお楽しみ下さい!



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