あそまなび大作戦「スクラッチアート_洞窟壁画編」を終えて



● はじめに

昨日は千葉県柏市にあるT-KIDSシェアスクール柏の葉校にて、2コマのアート講座を開催してきました。今回は<あそびまなび大作戦2021 in 柏の葉「好き」をみつける「好き」を楽しむ夏の特別プログラム>という夏休み企画に参加させていただきました。

あそまなび大作戦の詳細はコチラ→https://tkids.tsite.jp/informations/350.html

アートコンパスからは、題して「クレヨンでスクラッチアート<洞窟壁画編>~芸術の起源を巡る旅に出かけよう!~」です。

そうです、あの幼稚園生から小学校低学年の子供たちにも馴染みのあるあのクレヨンを使ったスクラッチアートです!

このスクラッチ=ひっかくという行為を、今から約2万年前の南フランスでクロマニョン人によって描かれたラスコーの洞窟壁画内の二つの技法:彩色画と線刻画の線刻画に関連づけ、子ども達が描きたい動物を描くという内容にしてみました。

ラスコー洞窟壁画:彩色画
牡牛の広間:牛や鹿などが描かれています。
大きいものだと約5メートルの大きさだとか!

ラスコー洞窟壁画:線刻画
鹿の頭が刻まれています。

もしラスコーの洞窟壁画にご興味のある方は以下のサイト超お勧めです!
バーチャルで洞窟内を探検でいます。

この講座内容は、4年前の2017年に一度「みんなのアート基礎講座」で行ったことがあり、開催数日前にレクチャー用のパワポデータを見返してみると、今回の参加者である幼稚園生や小学校低学年の子供たちにとって少々難しい内容になっていると感じ、もう少し分かりやすくコンパクトにブラシュアップして当日に臨みました。

ラスコーの洞窟壁画を5W1H:When(いつ?)Where(どこで?)Who(だれが?)What & How(何をどのように?)Why(なぜ?)を通して具体的に!

結果、子ども達は大変に喜んでくれたと思います。

一生懸命にクレヨンを両手に持って下地のカラフルな層と、その上から黒のクレヨンで塗りつぶす行為は、八つ切りの画用紙サイズとはいえ、なかなか大変な作業です。

そこでは同伴してくれたお父さんやお母さんも一緒になって塗りつぶし、粘土ベラや木串や木の実や貝殻を使って、見事な動物の線刻画(スクラッチアート)を完成させることが出来ました!

私も今回の学びを通して、改めてラスコーの洞窟壁画を見直すことができ、また子どもたちの表現豊かな絵画を見させていただいて、終わってから何とも言えない幸せな気持ちに満たされました。

参加してくれた子ども達、保護者の皆さん、そしてT-KIDSシェアスクールスタッフの皆さん、昨日は本当にありがとうございました!


● 概要

クレヨンでスクラッチアート<洞窟壁画編>~芸術の起源を巡る旅に出かけよう!~

日時:2021年7月31日(土)13:00~15:00 / 15:30~17:30

場所:T-KIDSシェアスクール・柏の葉校

参加者:13時の部(子ども6名+保護者6名)

    15時半の部(子ども5名+保護者5名、キャンセル1組)

講師:中村(Art Compass)


● タイムスケジュール

13:00~13:05(15:30~15:35) ご挨拶

13:05~13:20(15:35~15:50) レクチャー「ラスコーの洞窟壁画」

13:20~13:30(15:50~16:00) スクラッチアートの実演

13:30~14:00(16:00~16:30) 制作前半

14:00~14:05(16:30~16:35) 休憩

14:05~14:40(16:35~17:20) 制作後半

14:40~15:00(17:20~17:30) 振り返り:作品発表<①お名前 ②動物の名前(作品タイトル) ③工夫したところ・がんばったところ>


<13:00~15:00 の部>

前半の部の参加者は、年小~年長の幼稚園生が多かったと思います。
また何人かはクレヨンのスクラッチアートを経験していたり、普段からクレヨンなどの描画材を使ってお絵描きをしているなど、皆さんとっても上手に動物を表現していきました。


お母さんも一緒に!

画面いっぱいに体をくねらせたアナコンダです。
目など顔の表情を工夫しました!

直線や曲線の集合がまたなんとも美しいです。
お母さんが心配していた下地のクレヨンの色が
結果的に見事生かされましたね!


海の恐竜たちやオリジナルの記号が描かれています。
実は娘さんとお母さんのフルネーム(サイン)も描かれています。
コチラは個人情報の為デジタル加工しています・笑

鶴やセミなど、画面いっぱいに描かれています!
やっぱり子どもの絵っていいですよね。

昨日の夜は日本vsニュージーランド
日本、PK戦で勝ちました!!

トラを描きました。早くスクラッチしたくてうずうずしていましたね。
体の模様や草原、空にはたくさんの雲を工夫しました!




<15:30~17:30 の部> 

後半の部は小学3年生が多く参加されました。
前半とは少し異なり、全体的に作品中のストーリー性がより顕著に表れていたような気がします。

ペンギンの親子
親と子の毛並みの違いを、スクラッチの表現方法を変えて
うまくその違いを表現しています。
また今回、洞窟壁画の記号についてはあまり言及しませんでしたが
背景にはペンギンのマークや星が描かれています!


クラゲやダイオウイカなど海の生き物です。タイトルは「深海のカーニバル」
クラゲの足など、私はその線を見たとき、キース・へリングを思い出しました。
こんなにもゆたかな線で描ける小学3年生を今まで見たことがありません!!

小型の動物図鑑を見ながらお母さんと相談し
一つひとつ丁寧に様々な動物をたくさん描きました!
個人的にはラインのスタンプに活用したら素敵だろうなぁ~と思ってしまいました。


大胆な構図です。
ビーグル犬の上半身だけを入れ、左のひまわりと互いに寄り添い
まるでおしゃべりをしているかのような物語を感じさせます。
やさしさが画面から溢れ出ています。



一つひとつの動物はとても小さいのですが、そこが何とも言えません。
よ~く見ると、動物たちはそれぞれ食事中のようです。
また絵から広大な草原(サバンナ)を感じさせます。



おしまい


<参照>

・「芸術の起源を探る」 横山祐之著 朝日選書441

・世界遺産ラスコー展 2016-2017

・サピエンス全史(上)ユヴァル・ノア・ハラリ著 柴田裕之訳 河出書房新社

・画像:wikkipediaより



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